第739話 囚われの切り裂きジャック
魔法の鎖を縛れば、切り裂きの切断系統の力、不死の力の両方を無力化することが出来る。そうなれば、切り裂きジャックの驚異を取り除く事に成功し、そのまま拘束も出来る。
(……アーサーの名でここまで変わるとは……念のため、アーサーに確認を取るか)
ガラハッドは魔法の鎖を魔力で動かし、切り裂きジャックを一瞬にして縛り付ける事に成功する。そして、切り裂きジャックを無力化させた段階でスマホを取り出し、アーサーへ連絡をする。
この間も慎重なガラハッドは切り裂きジャックから目を反らすことなく、様子を常に監視していた。
「どうかしたか?」
「アーサー。確認をしたいのだが、切り裂きジャックとは面識があるのか?」
ガラハッドのその言葉にアーサー直ぐに答える事は無く、無言が続いた。
「面識は無い筈だよ。それがどうした?」
「切り裂きジャックがお前に会いたいと言っている。現在は魔法の鎖で拘束している」
「……分かった。王室まで連れてきてくれ」
「……王室か?」
「あぁ、女王陛下が切り裂きジャックと会いたいそうだ」
「……分かった。連れていく」
ーーーーーーーーーー
王室に魔法の鎖に縛られ、拘束された切り裂きジャックをガラハッドが連れ歩いていた。
そんなガラハッドは女王陛下の居る部屋の目の前で立ち尽くす。
王室には護衛任務や、チーム[円卓の騎士団]の一員として出入りするものの、女王陛下に会うのはガラハッドでも一年に一回あるか、ないかと言う位の回数でしか会うことの出来ない様なその人物がこの扉の向こうに居るこの状況にガラハッドは珍しく、緊張していた。
「早く。早くアーサー様に会わせろ」
中々、扉を開けないガラハッドを見かねて、切り裂きジャックは発狂するように告げ、取り乱す。
「……分かったから、少し落ち着け」
ガラハッドはこれ以上、待たせば切り裂きジャックが更に取り乱す可能性があると考え、緊張を押し殺し、扉をノックした後、扉を開ける。
「失礼します。チーム[円卓の騎士団]が傘下チーム[シールド]のリーダーを務めておりますガラハッド・シルバーでございます」
ガラハッドは部屋に入ると同時に深々と頭を下げながら告げる。
すると、間髪入れずに返答が返ってくる。
「頭を上げなさい」
「はい」
頭を上げたガラハッドはその場にエリザベス女王とアーサーの二名が居ることを把握し、切り裂きジャックを引き連れ歩き出す。
「彼が切り裂きジャックか?」
「あぁ、フランスに現れた者と同じ存在なのかは分からないが」




