第736話 チーム[シールド]
イギリスとフランスの時差は約一時間である。そんな時差など関係無く、切り裂きジャックは同時にイギリスとフランスに現れた。その切り裂きジャックが同一人物なのか、別の人物なのかは現在はまだ把握出来ていないのが現状であった。そんな中、フランスに現れた切り裂きジャックはチーム[ジョーカー]のモルドレッド、アルバーの二名によって、捕らえられていた。
そして、そんな二人からの情報で切り裂きジャックは不死の力と切断系統の力の二つを持つとされ、その情報はイギリスに伝えられた事によって、イギリスに現れた切り裂きジャックの捕獲を命じられたチーム[シールド]のガラハッドに伝えられていた。
イギリスに現れた切り裂きジャックの捕獲を任されたチーム[シールド]のリーダーであるガラハッドはチーム[シールド]のメンバー達に一人で切り裂きジャックを相手すると伝え、メンバー達には近辺警護に当たって貰っている。
ガラハッドは直ぐに動く事なく、切り裂きジャックの動きを伺っていた。
「フランスに現れた切り裂きジャックとイギリスの切り裂きジャックは別人と考えるべきか?報告によれば、二つの力を持つと言う。もしも分離する三つ目の力の可能性もある」
ガラハッドは現在の状況を確認するように呟く。
そんなガラハッドはポケットに入れていたスマホの着信音に気が付き、ポケットからスマホを取り出すと、直ぐに耳に当てる。
「……切り裂きジャックが現れた。場所はー」
アーサーのその連絡を受け、直ぐにガラハッドは移動を開始させる。
切り裂きジャックが現れた場所を聞いた時点でガラハッドは魔法陣を複数展開させ、逃走経路を塞いでいた。
「……ここに来ると思ったよ。展開させておいた魔法陣が破壊されていなかったから、直ぐにここに来るしか無かったよね。魔法陣を破壊しなければ、通れる道はここしか無い。切り裂きジャック……これ以上、君の好きにはさせないよ」
「……ガラハッド・シルバーだな?」
ガラハッドは切り裂きジャックが話しかけた事に少し動揺する。
フランスに居るモルドレッドの報告によると、会話はせず笑い続けていたと言う情報だったが現在、ガラハッドの目の前に居る切り裂きジャックは普通に会話を成立させていた。
「俺に知っているのか?」
「勿論だ。この世界で有名な人物の様だからね」
「この世界?まるで別の世界から来たような口振りだな」
「……どれも関係の無い事だ。ガラハッド・シルバー……お前はここで死ぬのだから」