第735話二つの能力
目の前に居る切り裂きジャックの不死としての力と切断系統の力から二つの能力又は異能を扱う者として、モルドレッドは把握し、直ぐに行動に移す。
「アルバー。イギリスに報告しろ。情報があれば聞いてくれ」
モルドレッドの指示によって、アルバーはスマホを手にすると通話を始める。
「……えっ、イギリスにも切り裂きジャックが?」
アルバーのその言葉を受け、モルドレッドの顔色が一瞬で変わる。
モルドレッドはスマホを取り出すと通話を始める。その相手はイギリスに居るアーサー・グラフェリオンであった。
「アーサー大変そうだな」
「……こちらの状況を知っているのか?」
「アルバーの電話の内容からな。切り裂きジャックがイギリスに居るそうだが……その切り裂きジャックなんだがフランスにも出た」
「本当か?」
「あぁ今、目の前で死にかけている」
「……イギリスの状況としては、一人の一般が殺されてしまった」
「フランスで出会った切り裂きジャックは切断系統の能力又は異能の他に不死に関すると思われる能力、異能を持つと思われる。もしかしたら、ほかにもあるかもしれないな」
「了解した。チーム[シールド]にはその情報を伝えるよ。幻魔もそろそろ来ると言う情報を掴んでいる。フランスの任務が終われば、直ぐに戻って来てくれ」
「チーム[ヴァルハラ]の次は切り裂きジャック……それに幻魔か。この任務は俺が無理に頼んだものだ。時期が悪かったな」
「心配は要らない。切り裂きジャックはチーム[シールド]が居れば十分だ。幻魔はアメリカと日本のメンバーに加え、チーム[ダイヤ]に任せてある」
「……ミスターXはもう戻っているのか?」
「さっきまでここに居たよ」
「イギリスは任せる。フランスの任務は俺が言い出した事だ。俺がやり遂げる」
「無理はするなよ。レッド、お前がやろうとしている任務は一年間許可が降りなかったものだ。最悪、フランス最強の男ローラン・アルガストを敵に回す可能性がある」
「心配するな。お前はイギリスの事だけ考えておけ」
「……任せるよ」
「あぁ」
通話を終えたモルドレッドは倒れ込む切り裂きジャックを見つめる。モルドレッドはアルバーを見つめ、通話を終えている事を確認した上で指示を出す。
「こいつには聞きたい事がある。捕らえておけ」
「分かった」
アルバーは自身が別空間に所有している泥、土等を利用して白魔術:錬金術を発動させ切り裂きジャックの居る場所に魔法陣を展開させる。その魔法陣からは泥、土が大量に出現しており、直ぐ様錬金術によって、固められる。切り裂きジャックは巨大な泥団子から顔のみを覗かせる様な形で捕らえられた。