第734話不死者
「……不死みたいだな」
「その不死者をどう倒す」
「倒す必要は無い。ここに来た目的を履き違えるな」
「時間稼ぎなら、幾つか方法はあるな」
「あぁ、後は俺がやる」
切り裂きジャックを倒すべく、モルドレッドは行動をしようとしたその瞬間、切り裂きジャックはナイフをモルドレッドへと投げる様な動作へと移動していた。
そんな切り裂きジャックを見たモルドレッドは直ぐに隣に居たアルバーに直ぐ様語りかける。
「アルバー。クレイマンを造れ」
アルバーはその必要もないと思ったものの、モルドレッドのその言葉を信じ、黒魔術:錬金術を発動させ、自身が所有している空間内の泥、土を元に土の人形を造り出す。
錬金術士としてイギリスでも有能なアルバーはモルドレッドの能力に合わせて、土の人形を造りようになった。
そして、モルドレッドの能力とアルバーの土の人形のこの組み合わせがあるからこそ、チーム[ジョーカー]はこの二人のみだけで十分な活躍が出来る。
モルドレッドは体内から出した影をアルバーが造り出した土の人形に繋げる。
その後の事だ。切り裂きジャックが手元に持っていた短剣を投げつけたのは
「危なかったな」
アルバーは首が跳ねた土の人形を見て、モルドレッドへと語りかける。
「そうだな」
モルドレッドに当たった短剣は首をかすめたものの、モルドレッドに傷一つ無く、その代わりの様に土の人形の首が跳ねていた。
それは殺戮の影の能力によるものだ。
モルドレッドの影によって、接触した物体や人間等に影を繋げておけば、モルドレッドが受けたダメージを影に繋げている物体や人間へと与える事が出来る。現在の土の人形の首が跳ねたのはモルドレッドが受ける筈だったダメージを土の人形が受けた事によって、このような状況になっている。
「可笑しいな」
首が切断された土の人形を見てアルバーを疑問を抱く。
モルドレッドが受けたのは首をかすめただけであり、切断される様なものではなかった。殺戮の影は受けたダメージをそのまま、影を繋げた相手に与えるものだ。モルドレッドが首に短剣かすめたなら、土の人形も首にかすり傷が出来る位でなければ、辻褄が合わない。
「どうやら、切断系統の能力、異能の様だな」
「……可笑しいだろう。相手が不死の様な力は能力又は異能だろう」
「では、この切断をどうみる?」
「一部の例外を除いて、二つの能力又は異能を持つ事はあり得ない」
「切り裂きジャックは希少な存在なのかも知れないな」