第716話 魑魅魍魎(デーモン・ゲート)
武田が自身の死を受け入れたその時、ゼウスは頭上に突如現れた存在に気がつく。
「……誰だ?」
ゼウスは突如として邪魔が入った事に苛立ちながら、頭上に現れた存在へと雷を放つ。しかし、黒いオーラと黒い炎を纏わせたその剣で雷を吸収させ、そのままゼウスへと斬りかかる。
「……お前……良いねぇ。俺様を楽しませてくれそうだなぁ」
ゼウスはその黒い炎を纏わせた剣が雷と化した体の雷までも吸収した事から、黒い炎を纏わせた剣を扱う男が全力で戦うに値すると、分かると不適な笑みが溢れていた。
「木山」
武田が助けに入った人物が木山廉だと知ると、自然と涙が溢れ出していた。
山梨支部防衛局護衛部隊部隊長を務めている程の男でも死を前にして、自我を保てる事は出来ず、恥じらいもなく、泣いていた。
「……お、お前には……」
「何も言わないで下さい。後の事は俺に任せて下さい」
「しかし……」
「忘れたんですか?俺への恩を返して下さい。それまで死ぬ事は許しませんよ。だから、生きて、恩を返して下さい」
「……木山……木山、俺はお前には一緒付いて行くぞ」
「それは頼もしいです。お願いします。でも、今日は、今日だけは俺に任せて下さい」
廉と武田のその会話の最中、体の全身が雷と化したゼウスは全身から雷を放電し始めていた。
「そろそろ良いか?俺様はもう我慢出来そうにない」
廉との戦いを早く始めたいゼウスは待ちきれない様子で、力を無造作に放っていた。そんなゼウスの右側に悪霊の様な黒いオーラが迫り来る。
突然、横槍が入った事で怒りが頂点へと達したゼウスは適当にその悪霊の様な黒いオーラを雷で払い退けようとする。
(……ハーデス?)
ゼウスの脳裏にこの攻撃をしたと思われる人物の名が過る。
ゼウスは雷を奪われ、増殖を続ける悪霊の黒いオーラを全能神の災害の雷では対処出来ない事から、ゼウスは覚醒を使用する。全知全能の最高神へと覚醒を果たす。それによって、雷に接触を続けていた黒いオーラで形作られた悪霊を一瞬にして、かき消す。
「どうゆう……つもりだ?ハーデス!」
ゼウスは悪霊の様な黒いオーラを対処を終えたゼウスは怒りを露にして、悪霊の様な黒いオーラが向かってきた方向へと怒鳴りつける。
「……誰だ?」
ゼウスはハーデスだと思っていたその攻撃の相手が別の人物だった事に戸惑いを隠せずにいた。そんなゼウスは一瞬にして、冷静さを取り戻すと、全てを理解する。
「……ハーデスによって、魂を操られている訳では無さそうだな。春夏冬秋人」




