第715話 創造神の物質(ゴッド・マティアリアル)
武田は黒いオーラを右手に包ませ、右手に白い盾を装備する。
「……武器を造り出すのか?それとも、盾のみか?」
「お前の攻撃を防ぐ為だ」
「……攻撃を手段があるにも関わらず、守るのみか?駄目だ。お前からは強者の匂いがしない。どうやら、お前は見逃す人間ではない、殺す人間だな」
ゼウスは右手から雷を放つ。その放たれた雷は武田へと真っ直ぐ、伸びていく。しかし、その雷は武田が右手に持っていた白い盾によって、防がれる。
「……大した盾だ。全力ではなかった雷だったが、破壊も出来ないとは驚いたな」
「残念だが、誰も破壊出来ない。俺の異能は創造神の物質は破壊不能な物質を造り出す事が出来る」
「そう。破壊出来ないだけだろ?それだけ、俺様に立ち向かえるのか?」
「立ち向かうさ。恩を受けた者として、ここで俺はお前を倒す」
武田は右手に持っていた盾を左手に持ち替え、右手に黒いオーラを包ませ、白い剣を右手に持つ。
「……そんな事をしても無駄!」
ゼウスは右足を地面に強く踏みつける。それと同時に地面は激しく揺れ出す。これは全能神の災害の異能によるものである。地震を起こすのも地面に少しの衝撃を与える事で地震を起こす事ができ、その地震の規模もゼウスが自在に操作することが出来る。
ゼウスが起こした地震はバランス感覚が優れた人でも、強度のある建物もそこに留まる事が出来ない程の地震により、武田は地面に倒れ、地震が収まるのを待つしか出来ない状態になっていた。そんな武田の元に一瞬で移動を終えたゼウスは動く事の出来ない武田を蹴り飛ばす。
雷と化したゼウスが蹴った事によって、蹴られた箇所は雷に撃たれた様な衝撃が加わり、武田は遥か後方まで吹き飛ばされていた。
「……俺様の前に立ち塞がった以上、死をくれてやる!」
ゼウスは攻撃を止める事など、微塵も考える事無く、ただ武田を殺す事のみで動いていた。
「……恩を返すとほざいておいて、このざまか。異能なら、覚醒位使ってみろ……もしかしたら、俺様を楽しませてくれる可能性もある」
「……はぁはぁ」
「使えても、無理そうだな。俺様の一撃で立つことも出来ねぇ雑魚が……楽には殺さねぇよ。じわじわといたぶってやる」
ゼウスは倒れ込む武田に連続で殴りかかる。
(……妻と子供達の命を助けてくれた木山廉の恩に報いる為に、木山廉の為に何かをしたかった……しかし、俺はお前に何も返す事もなく、死んでいくのか……それでも、今日まで妻の愛も子供達も成長を感じられたのは、木山廉……お前のお蔭だ。ありがとう)