第714話 全知全能の最高神 (オール・パーフェクト・ゴッド)
「今、動かせよ。閻魔羅王」
「……動かしても、勝ち目がなそうなので、動かしませんよ」
「いつ動かす?」
「……もう少し、罪を重ねて貰いますよ」
エンマはゼウスへ向かい走り出す。
ゼウスは不満そうな表情でエンマを見つめ、その場で立ち尽くしていた。
エンマは動かないゼウスへと殴りかかる。ゼウスは反撃すること無く、エンマの攻撃を全てかわした。
「……ゼウスともあろう者が、避けるだけですか?」
「攻撃はしねぇよ。お前に攻撃すると、閻魔羅王に力を蓄積するんだろ?お前に攻撃してもダメージは閻魔羅王が受けるなんてだけだしな」
「……それは言い訳ですか?」
「そうなるか?構わねぇよ。俺様は……本気を出しても、お前はその価値がある。お前が能力向上をすると言うなら、俺様は覚醒だ。全能神の災害の覚醒は軽く50を越える」
「している。異能の覚醒の量が最も多く扱えるのは、ゼウスだと言う事は」
「そうか。では、見せてやる。全能神の災害は今より、全知全能の最高神となる。この俺様が最も最強の力を手にする」
ゼウスは全身から黒いオーラを放出させる。
「それじゃあ、閻魔羅王を倒すとするか」
ゼウスはその言葉と共に閻魔へ殴りかかる。
「……どう……して?」
エンマは理解出来ずに空を見上げていた。
そんなエンマの顔を覗き込む様にして、ゼウスはエンマを見つめていた。
「理解出来ねぇよな。簡単に説明してやるよ。全知全能の最高神は俺様の誰よりも優れた存在にされるのさ」
「なんだ、それ?」
「運も実力も全て、俺様が頂点となる。誰も俺様には勝てねぇ。どうだ、絶望したか?」
「……絶望か。したよ」
そのエンマの言葉に満足げな表情のままゼウスはその場から立ち去る。
ゼウスのその行動にエンマは困惑していた。
「……俺様が認めた奴は生かす事にしてんだ。だって、生き延びて俺様を更に楽しませてくれるかも……だろ?だから、生かす。次会う時は今以上を期待するよ」
エンマは去っていくゼウスをただ見つめて居ることしか出来なかった。
「木山廉の恩を受けた者として、木山廉の育ち、帰る場所は死守させて貰う!」
ゼウスの行く手を阻む様にして武田はその場で立ち尽くしていた。
「無理だ。相手はゼウスだ。逃げろ!」
倒れ、動けないエンマは言葉のみで武田を説得を試みる。
「相手が誰なのかは、理解している。それでも、ここで立ち向かわなければ、木山廉との誓いは言葉だけのものへとなり下がる」
「……檜山エンマの有難い言葉に耳は傾けず……ねぇ。自殺志願者なら、介錯してやるよ」




