第71話竜の兵隊(ドラゴノイド)
浴衣ちゃんの能力造り直しによって聳え立っていた団地は直ぐに崩れる団地にリメイクされ、今は瓦礫の山となっている。警備していた竜達は瓦礫の中に埋もれているだろう。
「これからどうします?」
私は疑問を八重さんにぶつける。
「……この程度で死ぬ様な雑魚じゃあ無い」
八重さんは険しい表現で答えた。
一度戦ったからこそ八重さんは分かるんだ。
八重さんはじっと瓦礫の山を見つめる。そんな八重さんと同じように浴衣ちゃんも瓦礫の山を見つめている。私も瓦礫の山を見つめる。
瓦礫の山の中心が少しずつ動く。
誰かが出てくる。男の人だ。
「出てきあがれ」
男は瓦礫の山の上に立ち叫ぶ。
「どうしますか?」
私は八重さんに尋ねる。
「目的はあいつよ。倒さないと」
今回の任務はチーム[ドラゴノイド]の殲滅だ。
あの人、一人倒せば全てが終わる。
戦闘では私も戦う。
「あいつの能力は竜を何体も出す事の出来る能力。浴衣の造り直しは生物には使えないから浴衣はここで待機」
「私も戦えるよ。もう一度私の造り直しで団地を元通りしてあの男を建物の間に挟む事が出来れば」
浴衣ちゃんの造り直しは生物には出来ないみたいだけどその他には出来るみたい。浴衣の能力を使えばあの男を倒せるのかな?
「駄目よ。出来るかも知れないけど、確率はかなり低いでしょう」
「うっ、そうだけど……」
浴衣ちゃんの能力を使って建物を造り直して建物であの男を挟むのは難しいらしい。確かに団地はスペースが広くて、部屋も多い。八重さんの言う通りだ。浴衣ちゃんの能力以外であの男を倒すしか無い。戦闘向きなのは私だけ……
「私が前に出て戦います」
「……荒川さん貴女の能力を教えて」
「私の能力は神の義手。生物以外を手に変える事が出来る能力です」
八重さんは考え込んでいる。
「……では、荒川さん正面から攻撃を行って下さい。私と浴衣は影の中に入り、隙を見て攻撃を行います」
「分かりました」
今まで活躍出来なかったからここで頑張らないと……
「それじゃあ、お願いします」
「はい」
八重さんに言われ私は動く。
「玲愛ちゃん。頑張って」
「うん。ありがとう」
浴衣ちゃんの後押しもあって私の足取りは軽い。今から一人の男を殺すのに……
「お前か?俺の城を壊したのは……」
……この男は私以外には気づいてない。
「えぇ、私よ」
「女一人で殴り込みなんてな。大した自信だ」
自信何て無い。ただ私は勝つ。
私はバックにしまっていたペガサスのぬいぐるみを取り出す。
「……?」
男は不思議そうに私を……嫌、ペガサスのぬいぐるみを見つめる。
お母さん力を貸して……
……?
お母さんの力を扱えない。
「何がしたいんだ?お前から来ないならこっちから行くぞ。俺の竜の兵隊で遊んでやる」
次々と二足歩行するドラゴンが現れる。
リザードマンみたい。
どうして……ぬいぐるみから力を引き出すには覚醒しないと駄目なの?
だったら、私本来の神の義手で倒す。