第697話 翌日
[レジスタンス]が拠点としているそのビルで一夜を過ごした秋人はその日の朝に山梨支部の外へと行く為にそのビルから出ていた。
「……それじゃあ、行くよ」
「兄貴、すみません。ついていけず」
「構わないよ」
「その代わり庄司にはついていって思いますが」
「そうだな。庄司が居れば、移動には困らないからね。それじゃあ行ってくるよ。庄司頼むよ」
秋人のその頼みを答える様にして、庄司は転移魔法を使い秋人、庄司は一瞬にして、山梨支部の外へと移動する。
山梨支部の外は能力者育成機関から排除されたその場所に初めて訪れた庄司は辺りを見渡す。
「そんなに変わらないだろう?違うのは力があるか、無いかの違いだけだ」
「……そんなものは見ただけでは分かりません」
「そうだな。それでも分けたいらしい」
「だからって言って無能力者の罪人にも地下へ連れていくことは無いですよね」
「地下ってなんだ?」
「地下施設の事ですよ。シェルター等がありますが、主な施設はエネルギー源に人間を使用したエネルギー開発採掘所があるんですよ」
「人間を使用したってどうゆうことなんだ?」
「罪を犯した者をその罪に応じた時間、エネルギーの量が決められ、地下でエネルギーを奪い取っているんですよ。エネルギーが奪い終われば、釈放されるんです」
「そう言えば、山梨支部の外の人間が犯罪を犯した時は山梨支部の人間がその身柄を確保していたな」
「そうなんです。魔法、能力、異能がある人間なら、そのエネルギーが吸収されるんですけど、無能力者は生命エネルギーしか奪えないので、生死をさ迷う事になる事もあるんです」
「そんな事までして、エネルギーを造る必要があるのか?」
「これは世界中で行われている事で、今、世界ではこの人間を利用したエネルギー開発以外のエネルギー源を造る方法はありませんから」
庄司のその言葉に秋人はそれ以上の追求をする事は無かった。
それを追求し続けても根本的な解決には繋がらないからだ。
「……人も見ただけでは無能力者なのか判断出来ませんよね」
庄司が歩く通行人を見て、告げたその発言に秋人は足を止める。
庄司のその言葉に足を止めたのではない。その通行人を見て足を止めたのだ。秋人は庄司を見つめ、通行人との違いを確かめる。
通行人の背後からは黒いオーラが人形の形で上半身出ているようなその異様な光景に秋人は直ぐには理解する事は出来なかった。
「どうかしました?」
突然足を止めた秋人を気遣う様に庄司は尋ねる。




