第691話 山梨支部とその外
その会話から山梨支部の外、無能力者達が見捨てられる事がその場に居る全員が理解するなか、山梨支部の外の出身の秋人は廉の答えに耳を傾ける。
「……東京本部も東京本部の外にも山梨支部の無能力者達を避難させる場所はない」
「でも、山梨支部の人間の避難場所は確保していると?」
「そうだ」
「木山家はここで山梨支部も無能力者達も守る」
「無理だ。管理する神No.3チーム[オリュンポス]にはあのゼウス・アーベルが居る。ゼウス・アーベルは一人で国を滅ぼす力を持つ」
「だからと言って、無能力者達を見捨てる事は出来ない」
「……死ぬぞ」
「目的は分かっている。俺が勝つか、ゼウスを倒すかのどちらかだ」
「……木山……東京本部で俺のチーム[雷帝軍]に入れ!お前程の男をここで失う訳にはいかない」
「ゼウスとは戦いますし、チーム[雷帝軍]には入らないです。俺はゲンマの名を襲名して、この山梨支部の為だけに動く男でありたい」
「……決意は固い様だな」
「すみません。わざわざ、ご足労してもらっておいて」
「構わない。最後にお前と話せて良かった」
強絶は氷雪を連れ、部屋を後にする。
「それで、そちらの四人は何の用かな?」
廉のその言葉を受け、秋人は廉の前に移動する。
「俺は山梨支部の外から来ました。無能力者しか居ないそこでそれは魔法と能力を持って産まれてきました。しかし、俺は白魔術、黒魔術の2つの進化の可能性がありますが、白黒混合によって、全く扱えない状況です。能力は誰にも判断出来ない能力不明と呼ばれる状況の俺の……山梨支部の外に居る者達の考えは山梨支部を壊滅させる事です。そして、俺は山梨支部の外に居る者たちに背中を押され、ここに居ます」
「……いずれは来ると思ったよ。でも、堂々と目の前でそれを言って来るとは思わなかった。解決策は簡単だよ。勝負をしよう!」
「えっ?」
「君が勝てば、木山家は全面降伏しよう。でも、俺が勝てば、君は君達は暫く大人しくして貰う」
「……分かりました」
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木山家の道場。
「良いのか?」
秋人との戦いのその前に廉を個人的に護衛している武田は尋ねる。
「……何がですか?」
「お前には特がない」
「ありますよ。ゼウスが来るこのタイミングで彼の様な存在は危険なんだ。だから、守れるように動きを封じさせて貰うよ」
「……お前が勝つ前提だな」
「負けませんから」
「そうか。審判は俺がしよう」
「はい。お願いします」
秋人と廉は向かい合い武田の掛け声と共に戦いが始まる。
 




