第682話 春夏冬秋人(あきなしあきと)
秋人は魔法を大して扱えなかったものの、能力に関しては完璧に扱えた。
しかしその能力は現在に置いて、能力名や原則等が不明な能力不明と判断される類いの能力であった。
そんな秋人の存在が無能力者の希望となり、反逆の象徴となった人物である。
「能力のあるお前なら、山梨支部への侵入は簡単に出来るだろう。そこで任務を果たせ!」
秋人の答えは最初から決まっていた。産まれた時から、能力があると分かった時からこの時の答えは用意されていた。断れば、山梨県の無能力者の全員を敵に回す事になる。だからこそを秋人はこう答える事しか出来なかった。
「了解しました。必ず、山梨支部は潰します」
「利用出来るのは利用しろよ」
「はい。一人では無理なので、仲間を作ります」
「……最後には処分しろよ」
「……はい」
「任務が終わるまでは帰る事は許さんぞ」
「心得ています」
秋人はこの日から、山梨支部への生活を許可された。
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山梨支部への生活を送る事になった秋人な住まいはマンションであり、金銭面については、外に住まう無能力者達によって、支援を受けているため、困る事は無い。
秋人はまず。山梨支部を敵に回す目的を持つ同士を見つける為、町中を歩き続けていた。
しかし、そう簡単に見つかる様な事は無かった。
「……てめぇ、みたいな才能の無い奴はここに居る事は許されない」
「そうだ。出ていけ」
秋人は二人の男の怒鳴り声に足を止める。
二人の男に反論もせずに、立ち尽くす男を見て、秋人は動き出す。
「……俺がこの二人を倒したら……俺の仲間になってくれないか?」
「えっ?」
「……この状況を続けるのか、終わりにするのか、どちらかを選べ」
「……倒せるのですか?」
その男の言葉に答える様に秋人は全身から黒いオーラを放出させる。その黒いオーラは悪霊の様な不気味な存在で、常に姿を変化させている様な存在であった。
「……俺達を倒すって?」
「ムリムリ、山梨支部高等部能力クラスの雷剣の雲雷とは俺の事だ」
「……雲雷。軽くひねってやれ」
「……お前はやらねぇのか?」
「必要か?」
「嫌、見てろ」
雲雷は能力を発動させると、雷に覆われた神器である剣を手にする。
「この剣は雷鳴雷轟能力で俺は山梨支部で雷を扱わせたら、右に出るものは居ないとまで言われる男と知っても続けるのか?」
「……まだ、何も始まっていない。ここから始まるのさ」
秋人のその答えを受け、雲雷は手にしていた雷鳴雷轟を振るう。




