第681話 記憶
「チーム[ダイヤ]のリーダーになる前に話した事は覚えているでしょうか?」
「ええ、木山廉を守る時、又は木山廉がこのイギリスに来た時に……貴方がチーム[ダイヤ]を辞め、木山廉の側に居たいと言う話でしたね」
「認めて貰えるでしょうか?」
ミスターXのその言葉にエリザベス女王の隣に居たアーサーは怒りを露にする。
「ふざけるな。チーム[円卓の騎士団]の傘下であるチーム[ダイヤ]のリーダーがそんな勝手を許されると思っているのか?その甘い考えはチーム[円卓の騎士団]のリーダーとして、僕が処断する」
「お前にその権限は無い。ましてや、エリザベス女王の判断もなく」
「……女王陛下。ご決断を」
アーサーに答えを迫られたエリザベス女王は決断する。
「……アーサーの考えも分かります。ミスターX、木山廉にそこまでするからには、なにかあるのでしょう?」
「はい」
ミスターXは懐から曇った水晶を取り出す。
「……この中には記憶が入っている。この水晶を割れば、記憶が出てくる」
ミスターXは水晶を床に投げ、水晶を破壊される。水晶は割れると共に煙が部屋に充満していく。そんな煙は一ヶ所に集まると映像が流れ始める。
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「春夏冬……君は英雄だ。この任務に成功すれば、山梨支部は生まれ変わる。無能力者達の反乱はここから始まる」
二年前の山梨支部。
この時の山梨支部は木山家、檜山家が健在でその二つの家系がある限り山梨支部は安泰とまで言われていた。
しかし、魔法、能力、異能を持つ人間だけが能力者育成機関と呼ばれる最高のセキュリティの中の生活を許され、無能力者は本部や支部の出入りが規制されたそんな生活は無能力者達の我慢の日々が続く事を意味していた。
この反乱は起こるべきして起こったのだろう。
山梨支部は山梨県の半分の面積に壁を築き、無能力者との隔離に成功していた。そんな山梨支部の外に住まう無能力者達は山梨支部への反乱など、今まで考えてなど居なかった。とある子供が産まれるまでは……彼は春夏冬秋人山梨支部の外に秋が訪れたかった年に産まれた彼は魔法と能力を持って産まれた。そんな彼こそが後のミスターXである。
そんな彼の存在が無能力者達を押さえつけていたものを崩壊させた。彼が居れば山梨支部を壊滅させる事が出来ると言う考えを。
しかし、彼の魔法と能力には欠陥があった。
彼の魔法は白黒混合と呼ばれる状態であった。これは魔法の進化である白魔術、黒魔術が入り交じり、魔力が少量しか出せなかった。




