第68話 黒影の槍(シャドウ・ランス)
「玲愛ちゃん、八重ちゃん大阪だよ。たこ焼き、お好み焼き食べに行こうよ」
浴衣ちゃんは飛び跳ねながら私達におねだりをした。
八重さんのさっきの話から一番取ってはいけない行動なんじゃ無いかな?
八重さんはどう答えるんだろう?
「駄目よ」
……やっぱり。
浴衣ちゃんは頬を膨らませ、ふてくされた様に私に近づく。
「ねぇねぇ。玲愛ちゃん」
浴衣ちゃんは私の手を握り。甘えた声で話しかけてきた。
何だろう?
「どうかした?」
「玲愛ちゃんも食べたいよね」
どうやら、私を説得して、食べに行こうとしているみたい。
どうしよう?
「終わったら食べに行こう」
今は任務を優先しないと、私は浴衣ちゃんに言って聞かせる。
浴衣ちゃんはムスッとしている。
納得はしてくれていないみたい。
「終わったら絶対に食べにいけるの?」
浴衣ちゃんは私を見つめながら告げる。
終わったら行けるよね?
私は八重さんに目を向ける。
八重さんは軽く頷く。
終わったら食べに行こう皆で
「うん。終わったらいっぱい食べようね」
「うん」
浴衣ちゃんは満面の笑みで答えてくれた。
ここからどう動こう。八重さんの意見を聞いてみよう。
「八重さんこれから、どうすれば」
「そうね。情報は私が持ってるし、とりあえずチーム[ドラゴノイド]の拠点は分かっている。先ずは拠点までどう移動するかを考えましょう」
「それなら、浴衣ちゃんの転移魔法での移動を使えば……」
「駄目よ」
「えっ」
「厄介なのはあいつの能力竜の兵隊よ」
「竜の兵隊?」
チームと能力が同じ名前。
「チーム[ドラゴノイド]のメンバーは全てが能力で造られた竜よ。一体、一体が強く、偵察として街中にも居るの」
街にも……
浴衣ちゃんの転移魔法を使えない。私の神の義手は使えそうに無いし、八重さんはどうだろう?
「私の能力じゃあ無理そうですね。八重さんはどうですか?」
「……前の作戦では使わなかったけど、今回は使っても良いかもね」
「使う?」
「私の能力よ」
八重さんの能力って?
浴衣ちゃんは嫌そうにしている。
「えっ?八重ちゃんの能力って……影の中に入って移動する何て言わないよね?」
浴衣ちゃんはやっぱり嫌そうだ。
影って?
八重さんの影は形を変えていく。
八重さんの影は槍の形になる。
影から槍が出てくる。それと同じに八重さんから影が無くなる。
「これが私の能力黒影の槍よ。これで移動しましょう」
「その槍で移動ですか?」
「えぇ、この槍は全ての影に干渉出来るの」
……干渉?