第676話 光纏いし者
魔帝神剣を腕で防いだアレクサンダーは聖神化し、防御力が上昇しているとは言え、アレクサンダーでなければ、魔帝神剣の効果によって、腐敗し切断されていただろう。
しかし、アレクサンダーは腕が切断されるどころか全身から放たれる白いオーラの量は増え、頭上の魔力の塊の天使の輪も大きさが増加していた。
これは、白呪術:吸魔術によるものだ。
吸魔術で魔帝神剣のエネルギーを自身の力へと変換させているその事実に気がついたジークフリードは慌てて、距離を取る。
「魔属性は君に決定打を与えられなそうだね」
ジークフリードは魔帝神剣を魔術陣に入れると、別の剣を手にする。その剣は黄金に染まり、所々に様々な宝石が埋め込まれたその剣は黄金宝石の剣でありオールキラーと呼ばれる剣である。
全ての属性に致命的な一撃を与えると呼ばれたその剣をジークフリードが手にした事によって、アレクサンダーはそれに対抗するように、腰に携えていた偽王聖剣を抜く。
「……これで剣士としての君の実力が分かるね」
「それはお互い様だよ。小手調べはもう良いみたいだしね」
「見てみたかったのさ。対魔術と吸魔術を」
アレクサンダーは聖神化を解除する。
これはアレクサンダーが聖属性を身に纏っている状態であり、黄金宝石の剣で斬られれば、聖属性として致命的なダメージを負うからノーマルである状態へと戻る事にした。
「……流石はチーム[ソード]のリーダーだな。黄金宝石の剣を見て聖神化を解くとは、良い判断だよ」
「……聖神化の事だけを気にしている様だけど、レプリカとは言え、エクスカリバーを相手にすることがどれだけの無謀な事なのか、その身で知るが良い!」
アレクサンダーは一瞬でジークフリードとの距離を詰め、偽王聖剣を振るう。余りの早さにジークフリードは慌てて、黄金宝石の剣で防御する。
「……偽王聖剣は聖剣。聖神は持ち主の身体能力を向上させるその特徴を持つが、エクスカリバーは光の効果を得る。レプリカとは言え、速さは凄まじいね」
「本物のエクスカリバーはこんな物では無い。レプリカで無ければ首を跳ねていた」
「ならば、この体に埋め込まれた人工能力である光の聖剣を使ったらどうだ?」
「……使う必要は感じられないよ。偽王聖剣で充分。黄金宝石の剣でも偽王聖剣は破壊出来ない」
「理解しているさ。でも、このまま続ければお互いに剣同士の対決となる。劣るものが敗北者となるが、それでも良いのかな?チーム[ソード]の名を語る者よ」




