第673話 雷魔
雷魔。
オランダ、フランスにて、落雷を連続して落とした鬼である。オランダを数分の間落雷を落としたのち、フランスに行きそこでフランス最強の女と言われるジャンヌ・ストラーダによって、一度敗北をしてからは消息を経っていた十鬼シリーズの一体である。
そんな雷魔の目の前に立ったルーカスは右手を差し出し、魔力を雷魔へと向け、放つ。
ルーカスの魔力を受けた雷魔は一瞬にして、凝縮されサイコロの様な形へと変化する。
「流石は、ルーカスね。チーム[ソード]の副リーダーだけはあるわ。そして、風魔を凍りつかせた貴方もね」
ブリュンヒルデのその言葉を受け、ルーカスは湊斗へと目を向ける。
「……そうか。倒したのか?」
「凍りつかせただけさ」
ブリュンヒルデは突然拍手をする。
「凄いわ。ご褒美に教えてあげる」
風魔、雷魔の全身からは黒いオーラが放出し、姿が変化する。
「……人間になった?」
湊斗は激しく動揺する。それは予想も出来なかった出来事でもあったが、動揺した理由はそれでは無かった。風魔も雷魔も可笑しい事は弱い事は疑問に思っていたが、それが人間だとは感じさせない程のものがブリュンヒルデにはあるのだと言う事に動揺していた。
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地下廊下の外、大量の竜で拳魔を捕らえていたドラゴは異変を感じ、竜を消し去る。
「……なんだ?この男は」
そこには拳魔の姿は無く、一人の男の死体があった。それを見たドラゴは直ぐに理解する。
(確か、ブリュンヒルデ・キースは黒魔術:変装術の使い手だったな。だとすれば、副リーダーのジークフリード・アンサンブルが黒魔術:降霊術で抜き取った死体をブリュンヒルデが黒魔術:変装術で拳魔の姿にしていたのか)
ドラゴがその考えに至った時、ドラゴは気がつく。
(不味いな。だとしたら、今見えている敵の姿は偽りだ。地下に居る連中はそれを理解しているのか?)
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地下廊下。
湊斗はブリュンヒルデの黒魔術:変装術に気がつくと共に、能力を発動させ、氷神雪剣を手にする。
すると、直ぐ様ベルセルクへと投げつける。
ベルセルクは避けようともけずに、ブリュンヒルデもただ剣には手を出さずに立ち尽くしていた。氷神雪剣はベルセルクの顔面へと突き刺さる。
「思った通りだよ。もうここにはベルセルク・フルベルクは居ないね」
湊斗のその言葉通りベルセルクだと思われていたその人間はブリュンヒルデの黒魔術:変装術で欺けられていた。




