第672話 風魔
風魔。
管理する神No.8のチーム[パンドラ]のリーダーパラス・スケールが造り出した十鬼シリーズの一体であり、フランスで暴れた事など、その悪名は世界中に知れ渡っていた。
その事は湊斗も理解していた。理解していた上で湊斗は攻撃に移る。
氷神雪剣を一振りさせ、風魔を一瞬にして凍りつかせる。それだけで、湊斗は様子を伺っていた。風魔程のものがこれぐらいで、倒せる訳が無いことを理解していた湊斗は手にしている氷神雪剣を風魔に向け、構える。
湊斗の予想通り、風魔は氷を破壊すると共に、突風を起こす。
湊斗は咄嗟に氷神雪剣を振るい、氷の壁を造り出す。湊斗は間髪入れずに、大量な雪を風魔の頭上に降らせる。
三メートルを越える風魔の姿が黙視できない位にまで埋め尽くされていた。
「……この程度か?」
風魔は熱風と共に、その姿を現す。
「お前がこの程度ならもう終わりにするぞ」
風魔は全身から熱風を起こしながら、湊斗へと接近していた。
湊斗は氷神雪剣を振るい風魔の全身を凍りつかせる。しかし、全身から熱風を放つ風魔にはそれはなんの意味を果たす事無く、溶かされていく。
湊斗は氷神雪剣を地面へと突き刺す。
氷神雪剣から放たれたその冷気は湊斗の全身を包むと、湊斗の全身は氷に覆われ、その姿は悪魔そのものとなった。
これこそ、氷神雪剣の能力向上である氷雪魔神である。能力が能力向上すると、能力と能力向上後の能力の両方を同時に扱う事が一部の例外を除いて扱える。
現在の湊斗は氷神雪剣と氷雪魔神の両方を同時に扱える状態である。氷雪魔神となった湊斗は地面に突き刺さった氷神雪剣を右手に掴み取りる。
湊斗は左手から大量の水を放出させる。
風魔は突風を起こし、水を対処しようと動き始めるものの、湊斗の左手から放出される大量の水は風魔が起こす突風では対処出来る事は出来なかった。
氷雪魔神となった湊斗が放ったその大量の水は触れたものを鎮静化させ、幻覚まで見せると言うものだった。
風魔の起こした突風を鎮静化させ、その水は風魔に触れると風魔の動きを鎮静化させながら、幻覚まで見せていた。
大量の水をその場に留めておき、風魔を閉じ込める事に成功した湊斗は風魔に接近し、氷神雪剣を風魔の胸に突き刺す。
突き刺した胸から凍らせ、体内まで凍らせる事に成功した湊斗は風魔から放れ、大量の水を凍てつかせ、風魔は閉じ込める事に成功する。
「これで終わりだな」
湊斗は氷神雪剣を消し、湊斗の体を覆っていた氷は砕けていく。




