第67話 山で
ここは八重さんの意見に従った方が良さそう。
「八重さんの意見を聞かせて下さい」
「山に転移するのは良いけど……なるべく遠くね」
「遠くですか?」
「えぇ、彼らの情報網はかなりのものがあるわ。だからこそ、少し離れた場所に転移したほうが良いと思うわ」
「では、遠くの山に転移で大丈夫でしょうか?」
「えぇ、彼らも山までは対策をしていないだろうから」
これで移動方法と移動場所が決まった。
私は浴衣ちゃんに目を向ける。
浴衣ちゃんは笑顔で頷く。
「じゃあ、行くよ。集まって」
浴衣ちゃんに言われ、私と八重さんは浴衣ちゃんの側に寄る。
浴衣ちゃんが立つ床から魔方陣が展開する。
魔方陣は高速で上に上がり、私達を転移させる。
ーーーーーーーーーーーー
……どうやら転移出来たみたい。
山だけど大阪何だよね?
「着いた着いた」
「はしゃぎ過ぎよ。浴衣」
はしゃぐ浴衣ちゃんを冷静に宥める八重さん。
浴衣ちゃんは何処にいても明るいな。八重さんはクールだし、何だか上手く任務をこなせそう。なんとなくそう思える。
これは私の居場所を守る為、必ず成功させなければいけない任務。
私だけじゃあ無い。浴衣ちゃんや八重さんの居場所を守ってみせる。
行き場の無い私達の居場所は私がこの手で守ってみせる。
「……玲愛ちゃん。そのぬいぐるみ何?」
浴衣ちゃんは私が両手に持つぬいぐるみの事を聞いてきた。
それはそうだろう。中学生の私が大事そうに持っていたら不思だろうね。
ましてやこれから任務だ。聞いてこない方がおかしい。
「これは……」
何て答えれば良いのか悩んでいると八重さんがクスッと笑い答えた。
「浴衣、貴女は何でも気になった事を聞くその性格は直しなさい。私は好きよ。ぬいぐるみ大事にする女の子は」
八重さん……何だか、勘違いをしている。とりあえず私は否定も肯定もせずに笑顔で答えた。
「私も好きだよ。ぬいぐるみ」
浴衣ちゃんは笑顔でそう私に告げた。
浴衣ちゃんと八重さんに今から訂正するのも……またの機会に訂正しよう。
ペガサスのぬいぐるみはお母さんの能力が、ドラゴンのぬいぐるみはドレアさんから貰ったもの……このドラゴンのぬいぐるみはどうゆう意味でくれたんだろうか?とりあえず、ペガサスのぬいぐるみとドラゴンのぬいぐるみはバックに入れておこう。これからどうやって任務をしていけば良いのだろう。とりあえず、浴衣ちゃんと八重さんも居るし、二人に聞いた方が良いよね。
「それで、これからどう動きますか?」
私の質問は八重さんが答えてくれた。
「そうね。現地での最初の動き次第で作戦の成功率は大きく変わるはここは慎重に行きましょう」
「はい」
私の初任務、嫌でも慎重になる。
頑張って成功させる。