第660話 ガラハッド・シルバー
「……アーサー様。今の話は本当ですか?」
「本当だよ。僕の目の前で木山廉は抜いたよ」
「……」
「信じられないかな?」
「はい!アーサーの言葉を疑う訳ではないですが、特殊な何かをしたのでは?偽王聖剣に小細工したとか」
「それは無いよ。それは誰よりもアレク、君は理解出来ている筈だよ」
「勿論です。エクスカリバーを扱う者として、エクスカリバーの事は理解しているつもりです。だからこそ、信じがたいのです」
「……では、他国との者との合同作戦には反対かな?」
「……いえ、アーサー様の考えを妨げる事は致しません」
「ありがとう」
アーサーが感謝を述べると共に扉が開かれる。
「ガラハッド様。お疲れ様です」
「相変わらず、仰々しいな。アレク」
ガラハッドはその場に立ち、アレクサンダーの他に魔水晶に写ったマーリン、モルドレッド、ランスロットに加え、椅子に座るアーサーの姿を捕らえる。
「ハッド。護衛の任務は終えた様だね」
「アーサーお前と直に会うのは、数ヶ月ぶりだな」
「ハッドが護衛すれば、その者に死はないとされるジンクスが君を多忙にしているのかな?」
「全く、休暇を貰いたいものだ」
「女王陛下には伝えておくよ」
ガラハッド・シルバーが休みもなく、護衛の任務が立て続けにあるのか、いつからか流れ始めた噂が関係していた。ガラハッドが護衛した者は死ぬ事は無いとされるその噂はイギリス中に流れ、数年経った現在ではそれは噂では無く、確定された事実となった。
そんな噂は世界中に広がると、世界中から面白半分にガラハッドに挑む者、仕事を受けガラハッドを殺そうとする者も現れるが、ガラハッドと受けたのかすり傷が数回あっただけである。その全てがガラハッドの手柄とは言わないが、大半はガラハッドの活躍によるものである。
チーム[円卓の騎士団]のメンバーであり、その傘下のチーム[シールド]のリーダーでもあるガラハッドは聖盾を自身の所有する空間に入れており、いつでも出し入れすることが出来る。
聖盾はあらゆる攻撃を前方のみ完全に防ぐ事が出来る盾である。
しかし、後方からの攻撃は全く、防ぐ事は出来ない盾である。その欠点もガラハッドは補う術を持っている。
ガラハッドはあらゆるものを自身が所有する空間出し入れすることができ、攻撃、人間までも空間に入れる事が出来る。
それ以外にも、ガラハッドが所有する空間内には聖なる武器が多数存在しており、攻守共に完璧な男と称される人物である。




