第655話 王の資格
「では、私から」
スカーレットは岩に突き刺さるエクスカリバーに握る。スカーレットは力任せに引き抜こうとしたものの、エクスカリバーが岩から抜ける事は無かった。
「……では、次の方お願いします。(エクスカリバーを強引に引き抜こうとするなんて……やっぱりこの人達に援軍は任せる別けには行かない。例え、偽物だとしてもエクスカリバーは王の素質を持つもの以外には決して抜く事を許さない。ここに居るものでそれが出来るのは僕だけだ)」
スカーレットが抜けなかった事によって、その部下であるエマがエクスカリバーを手に取った。引き抜こうとするものの、エクスカリバーは全く動かなかった。
「……駄目みたいですね。それでは次の方お願いします」
「それじゃあ、俺が」
廉がエクスカリバーを引き抜こうと歩き出したその瞬間、アーサーは一瞬にして廉の目の前まで移動していた。
「悪いが、君は最後にお願いするよ」
「えっ?順番があったの?」
「君が最後以外はなにも決まっていない」
「……それって、なにか意味があるんですか?」
「それは僕も理解出来ない事だ。しかし、女王陛下のご指示だ」
「……分かりました」
廉が一番最後と言うその事はその場に居る全員がその意味を知らぬまま、エクスカリバーの前には彩美が立っていた。
彩美は無理矢理抜く事はなく、軽く抜こうとした。しかし、エクスカリバーが岩から抜ける事は無かった。
「では、次の方(……随分とやる気がなくエクスカリバーを抜こうとしたようだ。エクスカリバーは力加減で抜ける様になる様な剣では無い。エクスカリバーが認めたものだけが抜く事を許される)」
次にエクスカリバーの目の前に立ったのは、湊斗だった。
湊斗は両手でエクスカリバーを握ると一気に抜こうとするが、抜ける事は無かった。
「では、次の方(……残るは二人だけ、どちらも抜けるとは思えないが)」
エクスカリバーの目の前に立って恋歌は少し考え込む。
「……質問があるのですが」
「なんでしょう?」
アーサーのその言葉に恋歌は能力を発動させると、一本の剣を手に取る。
「……この運命極論でエクスカリバーを切っても?」
「構いません」
アーサーの強化を得ると恋歌はエクスカリバーを手にした運命極論で切りつける。運命極論の神器を生み出すことが出来る能力者である恋歌はその剣でエクスカリバーで切りつけた瞬間、運命極論の能力を発動させる。
運命極論で切りつけられたものは今ある状態から別の状態へと変化させる事が出来る。




