第648話 スカーレット・クイーン
記憶が全て消された舞の記憶を取り戻す為、廉と紫音は元東京本部防衛局に向かっていた。
「……紫音。何で防衛局に行くんだ?」
「防衛局は様々な情報が集まっている。闇雲に探すよりも効率が良いよ」
「そうだな」
元東京本部防衛局にやって来た二人は金髪の少女の目の前で立ち止まる。
「こんな所で何してんの?」
廉はその少女に何の躊躇いもなく、話しかける。
廉に話しかけられた少女は振り返り、廉の姿を確認するとため息を溢す。
「……呼ばれたの。随分とふざけた理由でね」
「ふざけた理由?」
「……私の姉が見つかったらしいの」
「見つかった?……今まで、姿を消していたの?」
「……幻覚によってね。関係者は皆、幻覚にかかっているなんてふざけた事を言ってるのよ」
少女のその言葉に廉が反論するよりも早く、別の人物がする事となる。
「……それをこれから話そうと、貴女を呼んで貰ったのよ。加藤彩美」
「……アメリカの大将がわざわざこんな所に来た訳?それで、何の用?」
彩美は真紅の髪の女性を見るなり、呼び出された理由を問い詰める。
彩美のその問いに女性が答えるよりも早く、女性の背後に居た黒髪の女性が前に出てくる。
「……言葉を選んでから話すことね。貴方ごときが話せるような人ではないのよ。ここに居るのは、アメリカでも五人しか居ない大将の一人スカーレット・クイーン様だ。それを理解した上で喋れ!」
スカーレットの護衛としてやって来たその黒髪の女性は彩美に対して、威圧的な態度で対応する。しかし、彩美が低く事は無かった。
「私も暇では無いの。つまらない理由なら、帰ってくれる?」
「……ふざけるな。スカーレット様がどれだけの激務の中、日本に来られたか、おまえでは分かるまい」
「そんな事はどうでも良い。あんた達の話なんか聞くつもりはない」
彩美のその言葉を受け、黒髪の女性は全身から黒いオーラを彩美、廉、紫音に向けて、放出する。その瞬間、三人は理解する。己の体が動かない事実を
「……エマ。止めなさい」
エマは背に刺すようなスカーレットのその殺気に気がつくと、スカーレットの言葉通り、三人の体の自由を解く。
「何をした?」
体の自由を取り戻した彩美はエマに近づきながら、告げる。
「……スカーレット様。攻撃の許可を」
「駄目よ!」
「……拘束の許可を」
「最低限な魔力でね」
「心得ています」
拘束の許可が降りた事によって、エマは黒いオーラ身に纏わせる。
それと、同時に彩美の足は全く動かなくなる。




