第634話 新たな日本五大剣客
「そう。そんなに力を押さえているのに、王者覇剣が強者と認めるなんて、よっぽどね。貴方の強さ」
「貴女には敵いませんよ」
「思っても無いことを言うのね」
「とんでもない」
伝達係である男は二人の会話の切りが良いタイミングを伺い話を始める。
「集まって頂いた理由でございますが、日本五大剣客のまとめ役……つまりリーダーを決めるのが今回集まって頂いた理由でございます」
伝達係のその一言によって、伝達係の言葉が聞こえない一十三には烏天狗がその言葉を代弁する。
「九十九様。今回集まって頂いた理由はリーダーを決める事だそうですが、どうですか?」
「……私は遠慮するわ」
一十三のその言葉を受け、次々と日本五大剣客に選ばれた者は答えていく。
「すみませんが、自分はチーム[雷帝軍]の他に防衛局強襲部隊部隊長を務めている事もあって、いつでも動ける様に時間を空けておきたいのですが」
当麻のその言葉に続き、東雲も答えていく。
「出来れば、僕も断りたいのですが」
三人が断った時点で沖田が口を開く。
「君はどうだい?」
沖田のその提案に恋歌は即答する。
「修行の身である私では、力不足です」
四人が断った事によって、伝達係は真っ直ぐ沖田を見つめる。
「では、沖田様にお願いしてもよろしいですか?」
「構わないよ。皆がそれで良いなら」
誰の反論も無いことから、沖田が新たな日本五大剣客のリーダーを務める事になった。顔合わせと、リーダーを決める為に集められた日本五大剣客達は解散していく。沖田を残して
「沖田様はお帰りにならないのですか?」
「少し、聞きたい事があってね」
沖田は伝達係を問い詰める。
「何の事でしょうか?」
「新たな本部を決める大会が一週間後に行われるって言うのに、何故、このタイミングで日本五大剣客を決めた?」
「上の考えでございます。私の分かるのはそれだけでございます」
「……これ以上聞いても、君は知らないと?」
「その通りでございます」
「そう。では僕も帰るよ」
沖田は伝達係にそう告げると、その場から離れる。
「沖田様」
詰所から離れた烏天狗は直ぐに沖田に詰め寄る。
「……なんだい?」
「新たな本部を決める大会では東京本部はどの十人を選ばれるのですか?」
「君が質問なんて、珍しいね。自我が芽生えた様だね」
「随分と前からですよ。それで決まったのですか?」
「まずは僕は確定しているよ」
「残り、九人ですね」
「……上の連中は東京を再び本部にしたい様でね。メンバーもそれなりのものにしないと上が納得しないよ」




