第616話オリビア・カシー
「オリビア?」
「ええ、管理する神傘下のチーム[ブレイン]のリーダーと言ったほうが貴方は直ぐに理解出来るかしら?」
「……管理する神No.10とも言われる実力のあるあんたが何の様だ?」
「あら?この空間については触れないのかしら?気にしているみたいだけど」
「まるで、俺の考えが分かっているような口振りだな」
「それは、そうよ。私はこの世に居る全ての人間と共有しているもの」
「……そう言えば、この世の人間と全て脳を共有する異能の持ち主だったな」
「そう。だからこそ、私は貴方の脳に侵入して、この空間を設けたの」
春菊はこの状況やオリビアについて考え込むがそのすべてを悟った様なオリビアの笑みを見た春菊は全ての考えを止め、素直にオリビアの話を聞くことにした。
「世界中の人間の脳を共有する事の出来るあんたが、わざわざ俺を選んだ理由は?」
「話が早くて助かるわ。一つお願いがあるの」
「……俺?」
「ええ、だから私はここに居るのよ」
「で、なんだ?」
「随分とものわかりが良いのね。……いや、貴方はさっきから何も考えない様にしているだけかしら?」
「……で、用件は?」
「私はこれから、日本である計画を進めたいの。と、言っても、私が手を出さずとも、日本はこれを実行する事になるけどね」
「何をするつもりだ?」
「日本は最近、管理する神の襲撃を受けており、特に東京本部は上手く対処出来ていないでしょ?」
(……大きなものは最近管理する神の傘下に加わったチーム[ヴァルハラ]に受けた被害は甚大だ。それ以外にも、東京本部の防衛局の人間を狙った事件が何度も起こっている。それに何よりも、東京本部防衛局局長である橘吉凶はチーム[ドミネーション]の人間によって殺害されている。管理する神が関わっていないにしろ、失態は明白だ。……この女何を考えいる?)
春菊はオリビアの顔を見た瞬間に我に返る。今まで考えていたその思考の全てが筒抜けであるその事実を春菊が把握したその時には、全てが手遅れだった。
「日本の各支部の上層部は今、慌てているわよ。本部を東京に任せても良いのかと?」
「その口ぶりだと、新たな本部でも、決めるってか?」
「あら、察しが良いのね」
「……嘘だろ?」
「本当よ!」
(……不味いな。各支部が本部の座を奪い合うとなると、話し合いで決まる様なものではない)
「その通りよ」
(人の心を簡単に見通すな。それに、この女の話はまんざら、嘘ではない。だとしたら、何の用件でここに来た?)




