第606話 ブリザードの行方
「いつから、起きていた?」
正平のその疑問に横たわっていた亮太が答える。
「少し前から」
「……そうか。」
全てのやり取りを間近に見ていた舞は紫音と氷がこちらに向かって歩いている光景を目にする。
「紫音!」
舞のその呼び掛けによって、紫音は真っ直ぐ舞の元へと向かう。
「倒したんだね」
「……少し、違うけどね」
紫音は後からやって来た氷へと目を向ける。
その紫音の行動につられ、舞の目線も氷へと向けられていた。
「……何があったかは、分からないけど、もう大丈夫なんだよね」
「うん。もう問題は無いよ」
紫音のその言葉を聞いた舞は安堵の笑みを浮かべる。そんな時だった。
その場に転移魔法に使用される魔法陣が出現したのは
「……終わっているみたいだな」
魔法陣から最初に姿を現したのは橘強絶だった。
「……このタイミングで出てくるなんて」
紫音は強絶が姿を現した理由を理解してたからこそ紫音の表情は優れなかった。そんな紫音の表現は更に変貌していく。
それは魔法陣から次々と人間が出てきたからである。
魔法陣が消えた時には、強絶が率いるチーム[雷帝軍]のメンバーが全員揃っていた。
「……お前が氷川氷だな?」
強絶は直ぐに氷を見つけると、確認を取る。
「そうだが。何?」
「……青森支部の連中がお前を捕らえる為に動き始めている」
「で、何?」
「そこで、提案がある」
「提案?」
「チーム[ブリザード]全員が東京本部に来ることだ。俺の部隊で所属することで青森支部から守ってやれる」
「……何が目的だ?」
「俺は現在、東京本部防衛局副局長に選ばれてなぁ」
「……つまり、お前の下につけって事か?」
「そうだ。チーム[ブリザード]は魅力的だからな」
強絶のその提案を聞いた氷は暫く考え込む。
ここで強絶の提案を断れば、青森支部以外にも、今回関わったチーム[ドミネーション]からの攻撃を受ける可能性がある。それらを考えると、強絶の提案は氷にとっても有難い話だった。
「俺にチーム[ブリザード]を率いるだけの権力はもう無い。俺だけなら、直ぐにでも、返事をするがぁ」
「それなら、問題無い。病院に向かっていた佐倉柚子、佐倉湊斗からは返事を貰っている。……と、言っても、佐倉柚子の治療との取引で、答えを言わせたがなぁ」
「で、あいつらはなんと言った?」
「……お前がこちらに来れば分かることだ」
「良いだろう。てめぇの首輪に繋がれてやる。だがなぁ。いつまでも大人しくしている保証はねぇぞ!」
「それで、かなわない」




