第600話 氷(ひょう)と紫音
「それじゃあ、任せるぞ」
「はい!」
正平は倒れていた舞を抱き抱え、その場を紫音に任せると体中ご切断され、氷によって、繋ぎ止められている仲間の元へと駆け寄る。
「久しぶりに兄弟の会話でもするかい?」
紫音は二人だけ残ったその場で氷との会話を始める。
「……そうだな。俺もお前と話したいと思っていた」
「何かな?」
「お前の異能についてだ」
「……氷神の花畑は母さんと同じ異能だかね。氷が聞きたがるのは分かるよ」
「……何故、同じ異能を持っている。何故、母さんの異能は狙われているのに、お前は狙われていない?」
「……それは、話すと長くなるけど、聞くかい?」
「当たり前だ!」
「氷は父さんと異能の訓練を受けていたよね」
「あぁ、その間お前は母さんにベッタリだったみたいだがな」
「それが全てだったんだ」
「何?」
「父さんや氷の居ない間、僕と母さんと……管理する神の傘下チーム[プロダクション]のリーダーであるディジーの三人で集まっていたんだ」
「チーム[プロダクション]が何故、氷川家に出入りしていたんだ?」
「チーム[プロダクション]のリーダーは氷系統の異能を集めること、母さんは僕に異能を譲る事でお互いに利害が一致したんだと思うよ。と、言っても幼かった僕はあの儀式が異能を僕に移す物だとは分からなかったけどね」
「……ふざけるな」
「ふざけてないよ。少し、儀式で母さんの異能は僕の体に入れ込まれていたんだよ。母さんの話によると、死期を悟った母さんは氷神の花畑を入れる事にしたみたい。チーム[プロダクション]のリーダーとどうゆう繋がりなのかは分からないけど」
「……理解出来ているな。紫音!」
「……」
「黙ってねぇで答えろよ。魔力を送るなら、ともかく。能力、異能の他者への譲渡は渡した者は必ず死に至る。母さんがずっと、病気だと思っていたが……そうか。お前が殺したのか?」
「……全ての異能の譲渡は行われてはいないよ」
「そうだろうなぁ。だからこそ、お前は覚醒が出来ない。俺と同じ様に、とでも思っているんだろ?」
「思っているよ。氷お前の暴滅氷神竜はもともと、父さんの異能だからね」
「氷川家の仕組みが分かったぜ」
「僕もだよ。母さんの異能を僕にだけ譲渡していると思っていたけど、あの時、氷の異能を見たあの頃から薄々分かっていたけど、今確信出来たよ。氷川家は代々、産まれてきた子供に異能の譲渡を行ってきたみたいだね」
「それだろうなぁ。チーム[プロダクション]は俺とお前の元々あった能力やら、異能を抜き取った様だなぁ」




