第567話参戦
(……分かりやすいわね。でも、演技の可能性もあるし……ここは慎重にいきましょう)
分かりやすい舞のその嘘を柚子は信じるか悩んだが、柚子は決め事なく、警戒を強める事にした。
そんな、柚子の考えとは裏腹に舞は上手く騙せたと自信ありでに笑みを溢す。
「所で、一つだけ聞いても良いかしら?」
「何?」
柚子からの突然の問いかけに舞は警戒心を高める。
「チーム[アブノーマル]には佐倉紫音が居たわね」
「……え、う、うん!」
予想もしていなかったその質問に、舞は戸惑いながら、答えた。
その質問には、戦いに参加していなかった氷月もその質問には興味を引かれていた。
「……そう。それで貴女はあの男の事をどこまで知っているの?」
「どこまでってどうゆう事?」
「そのままの意味よ」
「どこまでって、同じ仲間としてー」
舞の言葉をかき消す様に柚子は語り始める。
「何も知らないみたいね」
「何が言いたいの?」
「少し、昔話でもしましょうか?でも、困るのかもね。そうでしょ?上原氷月」
柚子のその問いかけに、氷月は無言のまま、睨み付けるだけで特に行動することは無く、立ち尽くしていた。
そんな、氷月の行動を最初から分かっていた様に柚子は話し始める。
「……元々、氷川家の人間だったのだが、弟に敗れてから、佐倉家へそして、佐倉家の為に上原家へと渡った男の過去は下らないもので築き上げられたものよ」
柚子のその言葉に舞よりも先に氷月が動く。
「なんですって?」
「……どうかしたのかしら?」
「お前だけは許さない。キレイな顔のまま帰れると思うなよ」
「あら、怖い事。けど、私はそっちの貴女のほうが好きよ」
舞よりも好戦的になった氷月は舞の隣に立ち尽くす。
「戦うつもり?」
舞は戸惑いながらも、隣に立ち尽くす氷月に確認を取る。
「当たり前でしょ。あいつは私が倒す」
「……えっと、連携は?」
「必要ない。私一人でやる」
氷月のその言葉に反論することも出来ずに、舞は怒りを露にした氷月の戦いを見守る事にした。
氷月は氷神月下を発動させ、柚子の足元を凍り付かせる。
氷神月下は氷月の造り出した氷に接触しているものを自在に操る事が出来る能力だ。それ以外にも、氷に接触しているものの情報を得る事も出来る。
そんな氷月の氷は現在柚子の足元を凍りつかせていた。
つまり、現在の柚子は氷月の思うがまま、操る事が出来る事を意味していた。しかし、氷月は柚子を操る事なく、様子を伺っていた。
柚子は氷月の能力を知っていたにも関わらず、あっさりと氷月の氷に触れている事から氷月は柚子に違和感を抱く。




