第566話探り合い
妖魔剣創造を発動させた舞は青色の剣を手にしていた。
「剣を創造ね。剣のみなのか?それとも、武器なら全てできるのか?……どちらにしても、私には勝てないわね」
妖魔剣創造を発動させた舞を見て、柚子は冷静なままだ。それは剣が強くも見えないし、彩美の放った雷の様な威力が出るとは思えない程、弱々しく柚子の目には映った。
だからこそ、柚子は完全に警戒心も無く、立ち続けていた。
そんな、柚子の考えとは裏腹に舞はその剣一本を強く握りしめ柚子に向かって走り込む。
迫り来る舞を柚子は手にしていた氷の剣を振るう。そんな、柚子の攻撃をみごとに舞は合わせた。しかし、舞の剣は柚子の振るった氷の剣によって、真っ二つに切断される。
舞の剣の切断がされた事によって、舞は勿論だが、柚子も動揺していた。
それは、氷神の聖剣は全ての物体を切断し、切りつけた物体を冷気へと変化させる事の出来る剣なのに、舞の剣は切断のみだけで、冷気へと変化がされなかったからだ。
動揺を隠せない柚子よりも動揺していたのは舞だった。
妖魔剣創造は舞の創造したものなら、この世に無いとされるものまで造れる事が出来る異能であり、先程まであった剣は氷を消滅させる剣だったのだが、その剣は氷を消滅させる事なく、切断されたからこそ、舞は動揺していた。
「……少し、驚いたわ。私の氷神の聖剣の異能が上手く発動しなかったのは初めてよ」
「私も妖魔剣創造の効果で消滅させる事が出来なかったのは、初めて」
お互いにお互いを褒め称え、ながらも、お互いにどうやって戦うか考えていた。
舞は妖魔剣創造を発動させ、氷を消滅させる事が出来る剣を両手に握る。
舞が両手に握った剣を見て、柚子は先程と全く同じ剣だった事から、自身の氷神の聖剣が上手く発動しない可能性を視野に入れ、行動を開始する。
今まで、その場から動く事の無かった、柚子は初めて動き出す。
柚子がうごくと同時に浮遊していた氷の剣も柚子と一定の距離を保ったまま、付いてきていた。
舞は柚子の周りに浮遊している十個の氷の剣よりも、柚子自身への攻撃に絞り、氷を消滅させる事が出来る剣を振るう。
しかし、柚子の周りに浮遊していた氷の剣の一本が柚子を守る為、高速で防御をする。氷の剣に接触した舞の剣は直ぐ様切断される。しかし、氷神の聖剣による冷気への変換はされる事は無かった。
「……またか。特殊な剣みたいね」
「大した剣じゃあないよ」
探りを入れながら話しかける柚子に舞はそっぽを向きながら、必死に隠そうとしていた。




