第564話 雷と氷
彩美は通常の雷属性の魔法が簡単に対処された事から、彩美は戦闘スタイルを変更する事にした。
彩美は両手を纏っていた雷を体全体へと広げていく。
「雷切姫の本領発揮ね」
「……貴女の目ではもう私を捉える事は出来ないわよ」
「……見る必要は無いのよ。私の異能なら、どんな状況でも対処できる」
柚子はその言葉と同時に氷神の聖剣を発動させると、氷の剣を十個自身の周りに浮遊させる。
そんな、柚子の周りにある十個の氷の剣を見て、彩美は行動出来ずに居た。
それは、柚子の氷神の聖剣の切断力と彩美の雷を消滅させる事の出来る氷の剣が柚子を守る様にして、浮遊を続けている為、彩美は動けない。全身を雷に包み、攻撃力、移動スピードを向上させた彩美だったが、浮遊を続ける十個の氷の剣を避けながら、攻撃を柚子に与えるのは、簡単な事ではない。それに氷の剣が体に触れてしまえば、その箇所は切断される事だろう。
だからこそ、彩美は動けなかった。
そんな彩美の隣に居る舞は提案する。
「……私の妖魔剣創造で氷を溶かす剣を造ってみようか?」
舞のその提案は彩美からしたら、とても魅力的な提案だった。
しかし、彩美は直ぐに決断する事は出来なかった。
舞のその提案を受け入れれば、一瞬の隙は造れる可能性はあるが、柚子の氷神の聖剣をまだ、正しく理解出来ていないこの状況で一瞬の隙を造れるその手を使うのは、得策では無いと考えに至った彩美は決断する。
「……大丈夫。私が隙をつくるから、安心して」
「うん!」
舞にそう言ってしまった手前、後戻りの出来ない彩美は決断する。攻撃することを。しかし、氷の剣が浮遊を続けている限り、近づける事は出来ない事から、彩美は遠距離からの攻撃を開始する。
全身を纏う雷を右手に集中させ、柚子へと放つ。放たれたその雷は勢い良く放たれる。雷は柚子に直撃するその前に冷気に触れたら瞬間、停止する。
そんな停止した雷を柚子は手にしていた氷の剣を接触させる。
氷の剣に接触した雷は一瞬にして、冷気へと変化する。
「……周りに浮遊させた氷の剣から出ている冷気触れたものを停止させ、停止ている氷の剣で切りつけたものを冷気へと変化させるとは、厄介ね」
「良く、理解出来たわね」
「それぐらいは出来るわ」
「そう。それで、貴女以外は見ているだけかしら?」
「……あんたの相手は私一人で十分」
「その割には、貴女の隣の子からは殺気があると思うのだけど?」
「……それでも、貴女は私一人で事足りる」




