第550話 氷神魔水剣(コールド・マジック)
「……そうね」
「ですが、言った所で貴女は私相手に対処は出来ないでしょ?」
「確かに強度だけの氷では無理ね。だからと言って、氷の剣も貴方の剣には勝てないし、そうなると、私もそれなりの力を使う必要がありそうね」
厚美は氷の魔水晶を発動させ、右手に冷気を漂わせると、その冷気を剣状に形作る。
剣状に形作られたその冷気は実物の剣へと変化する。
実物の剣は黒いオーラを一瞬漂わせると、剣はその形のまま固定され剣となる。
黒いオーラが一瞬だけ見えた事から、湊斗は厚美の異能の覚醒だと正しく認識する。
「それが貴女の覚醒ですか?」
「ええ、結婚したことによって、石原家に代々伝わる氷の鋼鉄剣を返上したけど、私は剣士のまま。この覚醒はそんな私の思いによって、目覚めた覚醒!氷神魔水剣こそ、私の剣」
「……能力、異能の武器は神器となり、破壊不能となりますから……その剣の破壊は無理そうですね」
「それは、貴方の氷神雪剣もね」
「剣同士でも決着が着かなそうですから、ここから能力も使わせて貰いますよ」
「好きにしなさい。私も使うから」
湊斗は氷神雪剣を発動させ、猛吹雪を起こす。
視界が失われ、動く事もままならなぬ状況で動けない厚美、亮太、優菜とは違い、湊斗は軽やかに動き、厚美の元へと駆け寄る。
湊斗は自身の間合いに居る厚美に剣を振りかざす。
その剣に衝撃が走った事によって、湊斗は同様する。
猛吹雪の中、厚美が湊斗の動きを完璧に捕らえ、防御したとは思えない湊斗は戸惑いながらも、後退して体勢を整える。
(……どうゆう事だ。この猛吹雪では、視界も足音もかき消されたこの状況でどうやって、私の攻撃を捕らえた?)
厚美がどうやって、防御をしたのか。この答えが出ないまま、湊斗は次の攻撃を開始する。
湊斗が攻撃を開始しようとしたその時、背後からの殺気に気がついた湊斗は攻撃を止め、勘のみで迫り来る攻撃を対処する。迫り来る攻撃に対して、剣での防御をした湊斗の手に衝撃が走る。湊斗は剣にぶつかったものを確認すると、さっき見た厚美が手にしていた剣だった事を把握すると、後退して巨利を取る。
(いつの間に、背後に移動した。この私が造り出した猛吹雪の中、動ける筈も無いのに、一体どうやって?)
厚美の異常なまでの適応能力に戸惑いながらも、何かあると考えに至った湊斗は考えられる可能性を模索する。
湊斗は幾つかある可能性の中、最も確率の高い、答えを確かめる為、厚美への攻撃を開始する。




