第549話 氷神雪剣(コールド・スノウ)
「言ってくれるわね。それじゃ、少し見えてあげる」
厚美は氷の魔水晶を発動させ、湊斗の下半身を凍りつかせる。
「これで動けないでしょ?」
身動きの取れなくなった湊斗に勝ち誇った表情で告げる厚美は手にしている氷の剣を湊斗に向ける。
しかし、湊斗は冷静に佇んでいた。
「……強度があると言えど、氷!それでは私の氷神雪剣で簡単に対処できる」
湊斗は自身のその発言を証明する様に能力を発動させる。
その瞬間、湊斗の下半身全体を凍っていた氷は一瞬にして、消え去る。
「……私の氷神雪剣は氷、水、雪を全身から出すだけでなく、触れている氷、水、雪の操作が可能です。貴女がどれだけ強度のある氷を造り出しても、私が触れれば、操作して、無力化させる事が出来る」
その事実を聞いた事によって、厚美の戦いを変えざる得ない状況に思わず、舌打ちを一度する。そんな厚美だったが、氷の剣と氷神雪剣のぶつかり合いに置いて、氷の剣が消滅しなかった事によって、湊斗の氷神雪剣は体に触れる事によって、氷、水、雪の操作が可能であると、言う事実を見抜いた事によって、厚美は氷の剣をもう一本造りだし、両手に氷の剣を握る。
「……私の能力を理解して、剣での戦闘方法に切り替えましたか」
「……戦闘経験がものを言うのよ」
「ですが、貴女の能力は使えないと言っても過言では無いですよ」
「それでも、やりようは幾らでもあるわ。剣士として負けるとは思えないしね」
「それは私も譲れないものがありますね」
互いに手にしている剣をぶつけ合う、お互いに何度もぶつけ合い、引くことは無い。何度もぶつけ合う内に、厚美の左手に持つ氷の剣が砕ける。
それによって、一瞬の隙が出来た厚美に対して、湊斗は氷神雪剣で造り出した剣で厚美の右手に持つ氷の剣を凪ぎ払うと、厚美の腹に一発蹴りを入れる。
蹴られた事によって、後ろへと吹き飛ばされる厚美は背後に居た亮太のよって、受け止められる。
「……もう無理そうだな」
受け止めた亮太は厚美にそう告げると共に、厚美は直ぐ様立ち上がる。
「必要ないわ。子供を戦闘に立たせる大人は居ないわ」
「……まだ、やると?」
「ええ」
「無理なら、さっさと言え。それまでは手を出さないからな」
「……言うことは無いから、安心して」
一度微笑んだ厚美は足早に湊斗の元まで歩いていく。
「……出来れば、女性を傷つけたくは無いのですが」
「蹴った後に言う台詞では、無いわね」
「確かに、事前に言っておくべきでしたね」
 




