第545話 屋上での再会
「……屋上に居るみたいだけど」
「そう。ありがとう。行ってみましょう」
氷月から得た情報によって、屋上へと向かう。
屋上にたどり着いた厚着を初め、皆動揺を露にする。
それは上空には隙間が無いほどの肉体の塊によって、覆われていた。
その肉体が上空にあるのは、北大路の破滅波動によって、東京本部の全体の上空や地下の全てをオーラの膜で覆っていた為にその様な状況になっていた。
そんな肉体に覆われている上空をただ見つめている亮太の存在に気がついた厚美は駆け寄る。
「……田中亮太君ね?」
「あぁ……昔の日本五大剣客に選ばれた石原厚美か?」
「目上の者には敬語を使いなさい」
亮太の言葉使いを注意した厚美はその隣に居る優菜の姿を見て、安堵する。
「無事みたいね」
「は、はい。でも、どうしてこんな所に?」
「チームの皆には報告して、ここまで?」
「……急いでここまで来たので」
「皆心配しているわ」
厚美のその言葉と共に、舞は優菜元に近づく。
そんな舞の顔を見て、優菜は申し訳なさそうに、舞の頭に右手を置く。
「ご免なさい。心配かけたわね」
「無事で良かった」
「……廉達の姿が見えないけど」
「青森支部に行っている」
「……貴女達の様子を見る限り、私達も直ぐに青森支部に行った方が良いみたいね」
「良く分かったね」
「上空の肉体の塊に、急いでいる貴女達。なにかあったことは明かでしょ?」
「……そうだよね。大丈夫?」
「私は……でも、彼はどうでしょうね」
優菜のその視線の先に居た亮太は厚美との会話を続けていた。
「青森支部に今から向かいたいのだけど、構わないかしら?」
「……東京本部がこの体たらくで青森支部はどうなんだ?」
「肉体は何処にも見られていないわ。チーム[ドミネーション]に所属するチーム[ブリザード]が居るからだと思うけど」
「……そうか。分かった」
「それじゃ、行きましょう」
彩美の転移魔法に使って、屋上にする全員を青森支部へと転移させる。
「……寒っ!」
地面、建物の全てが凍りついた青森支部に着いた事によって、思わず舞の口から本音が出ていた。
そんな舞とは違い、厚美は何食わぬ顔で居た。そんな事が出来ているのはこの場に置いて、厚美と氷月だけだった。
そんな寒さに体を震わせていた舞は殺気に気が付き、妖魔剣創造を発動させ、紅桜を造り出すと、迫り来るその殺気に向けて、紅桜を振りかざす。
それによって、舞に向かって飛んできた物を切断することに成功した。
「大丈夫?」
突然の出来事に、彩美は心配しながら、舞に駆け寄る。
 




