第544話 肉体の侵食
チーム[ブレンド]のリーダーである藤崎詩織の異形な聖剣によって、日本を肉体に包ませようとしていた。能力者育成機関の本部、支部の人間達は迫り来る大量な肉体の対応に終われていた。そんな中、東京本部では日本五大剣客の一人北大路王牙の破滅波動によって、オーラの膜を東京本部全体に覆わせ、肉体の進行を止めていた。
そんな北大路の傍らには北大路を守るべく、数人の人間が護衛として居た。
そんな北大路のお陰で、東京本部内を自由に歩く事が出来ている石原厚美、川上舞、加藤彩美、上原氷月の四人は居なくなった坂口優菜を探す為、東京本部内に来ていた。
「やはり、病院に行った方が良いわね」
厚美は東京本部に着いて早々、病院に行くことを提案する。
「はい」
そんな厚美に対して、舞のみが答えた。
舞の答え以外の答えが帰って来ないことを悟った厚美は病院へと向け、歩き出す。
「ここで良いの?」
病院の目の前まで到着した厚美は舞に確認を取る。
「はい。この病院に入院しています」
「……ここに居れば良いけど」
「多分、居ると思いますよ。優菜は」
「……では、行ってみましょう」
病院内は慌ただしく、患者達を地下病棟への移動が開始していた。
「……この状況だと、彼の病室を聞くには時間がかかるわね。病室は何処かは分かっているの?」
「……一度、来てますよ」
「そう。では、一度行ってみましょう」
舞の案内によって、田中亮太の居る病室へと向う。
亮太の居るその病室をノックした後に覗きこんだ厚美のその目にはもぬけの殻と化した病室が写り込む。
「……ここには居ないわね」
厚美は自身が確認した事実を全員に伝える。
その事実を受け、舞は可能性の一つを厚美に伝える。
「……地下病棟に移ったのかな?」
「その可能性はあるけど、この階はどこもまだ移動していないわ」
「だったら、何処に?」
悩み続ける二人に対して、彩美、氷月は特に悩む事なく、二人を見つめていた。
「なにか心当たりある?」
舞は考えを止め、彩美に尋ねる。
「……嫌、全く無い」
彩美のその一言を受け、厚美は無言を貫く氷月の元へ近寄る。
「……貴女はどう?」
「知らないわ」
「月下氷神を使えば、この建物全体を把握出来るでしょ?」
「……だから?」
「お願いしても?」
「……断っても、良いのですか?」
「構わないけど、このまま、ずっとここよ」
「……やれば良いんでしょ?」
「ええ」
氷月は月下氷神を発動させ、足元を凍らせる。それによって、病院全体を情報を全てを得る。




