第54話 資料室
僕は地下施設の資料室に向かい歩き始める。
警備員の数はそれほど居ない。これなら何とかなりそうだ。
僕は周りを気を配りながら進んでいく。
資料室の前には二人の警備員が立っていた。
二人の警備員は退屈そうにしている。
警備員は談笑をしている。
ここで僕が襲いかかれば確実に捕らえる事が出来るだろう。
しかし、騒ぎを大きくするのは不味い。
エネルギー源を吸収する施設には氷雪、明神明、当麻総一朗が居る。
問題が起きれば誰かが資料室までやって来る可能性がある。
「そろそろ行くか」
「ああ。一本だけな」
何の話だ?
警備員の二人はタバコを取り出しこちらに向かって歩いてくる。
喫煙室は僕の手前か。ここで待ってみる。
警備員の二人は喫煙室に入っていく。
僕は身を屈め、資料室を目指す。
身を屈めながら資料室の扉に手をかける。
鍵がかかっていない。
中に入ってみよう。
本棚が無数にあり、奥にはパソコンが二台ある。
僕は内側から鍵を閉め、パソコンに向かい歩き続ける。
僕はパソコンを起動させる。
パスワードも分からない。ここのセキュリティがどれ位なのかも分からない。だけど僕は知りたい事が多すぎる。
僕はパソコンの操作を始める。
どうやらここの管理状況は杜撰だ。
今まで警備員だけで守ってきたのか?
パスワードも無く簡単に検索できる。
ここの資料室には誰に見られても良いと言わんばかりにパソコンを弄れる。
ファイルをクリックする。
そこのは「プロジェクト・ナギア」と書かれたファイルがある。
僕はクリックしてみる。
……クローン、アンドロイド等全てが違法のものばかりだ。
地下施設でこの研究は続いている。
更に先を見てみる。
神の頭脳の大量生産の報告書だ。
世界一の頭脳を持つとされる能力を元にして作っているみたいだ。
誰がこんな事を……管理する神か?
……廉
君の一族は……
こんな所で廉の過去をするのは卑怯だ。
でも、僕は知りたい。
仲間として……
僕はファイルにあった報告書の檜山、木山家惨殺事件をクリックする。
一通り目を通す。
今は授業中の筈だ。
直接、当事者の川上玲奈さんの所に行こう。
僕はパソコンの電源を切り、その場を後にする。
ゆっくりと資料室の扉の開ける。
警備員は戻っていない。
最悪な状況も考えていたんだが、良かった。
早く、川上道場に行かないと……
「ここが、舞と廉が住む家」
思わず、声を出していた。
学生寮に住む僕からしたら羨ましい限りだ。
僕は門を潜り抜け、玄関に到着する。
家と道場が一体になっているからか凄く大きい。木造構造で古さを感じるものの威厳がある様に見える。上原家とどこか似ているからそう思ってしまうのだろうか?
僕はチャイムを押す。