第532話 石原家vs異端者
石原茂人から氷の扱い方を学んだ石原碧人の成長は著しく、石原家の中でも、トップクラスの氷の強度を誇る程になっていた。
そんな頃、石原茂人は石原家の最大機密とされていた家宝を手に入れようとしていた。
それを把握した石原家の当主である石原和人は息子である石原碧人は呼び出されていた。
「……碧人、中学校はどうだ?」
「……特に報告するような事はなにも」
「そうか。話は変わるが、今石原家で何が起きているか……理解しているか?」
「……師匠……じゃあ無くて、石原茂人が家宝を狙っているんだろ?」
「……石原家の家宝には何があるかは覚えているか?」
「確か、姉貴の持っている氷の鋼鉄剣だろ?」
「で、後は?」
「氷の魔神って言う置物だろ」
「……少し違うが……まあ良い。最後の一つは?」
「……氷の魔鏡だろ」
「そうだ。先日、氷の魔鏡が盗まれた。心当たりはあるか?」
「回りくどい。もう目星はつけているんだろ?」
「そうだ。隙を見て、凍らせろ」
「……断る!」
「何故だ?」
「証拠も無い上に、俺がやる意味も無い」
「分かった。ならば、何もするな」
「……その時にもよるがな」
「勝手にしろ!」
「話は以上か」
「あぁ」
父である和人のその言葉を聞いた碧人はその部屋から出ていく。
そんな碧人を見届けると、和人はスマホを耳にかざす。
「……計画を進める。石原茂人を見つけ次第、拘束しろ!」
石原家の当主である和人のその指示により、石原家の者達は慌ただしく、屋敷内を探索を始める。
茂人の探索が開始して間も無く、石原家の屋敷中は濃い青色の氷に覆われていた。
その氷を見た石原厚美はそれを出したのが、石原茂人であると認識しながら、茂人の姿を探し続ける。そんな厚美は濃い青色の氷が続く廊下を辿って歩いていく。氷が途切れたその廊下で厚美は立ち止まる。
「やっぱり、ここに来たか」
茂人のその言葉に厚美は首を傾げる。
「……まるで私が来るのが分かっていたかの様な物言いね」
「これでな」
茂人が右手に持つ氷に覆われた鏡を見て、厚美はそれがなんなのか正しく理解をした。
「……氷の魔鏡。そう、屋敷にある氷に写った私を捕らえていたのね」
「あぁ」
「それはどこで手に入れたの?」
「ここで」
「……それは貴女が盗んだって捉えても良いのね?」
「あぁ、盗んだ」
「そう。残念ね。貴方をここで捕らえるわ」
厚美は腰に携えた氷の鋼鉄剣を鞘から刀身を抜く。
「……その氷の鋼鉄剣も貰っておく」
「弟の碧人がお世話になったみたいだけど……手加減は出来そうに無いからね」




