第530話 石原家
九十九六三四、楠木村正、斉木正宗、デューク・クラークが、上田氷河、上田氷花を倒したその頃、青森支部の街中を探索していた。
「どうした?」
チーム[クリムゾン]のリーダーである檜山仁のその言葉に返答する事も無く、氷を眺め続けるチーム[クリムゾン]の副リーダーである石原碧人は氷に手を伸ばす。
「さっきからどうした?」
仁のその声に我に返った碧人は慌てて、対応する。
「何でも、無い」
「……氷が気になるのか?」
考えが読み取られた事によって、諦めた様に碧人は答える。
「あぁ、さきまでの氷と違って、ここからの氷は全くの別物になっている」
「それがどうした?」
「……この氷は石原家の者が造ったものだ」
「なんで分かる?」
「俺が石原家の人間だからだ」
「……そうか。氷なんて、俺にとっては、どれも同じに見えるがなぁ」
「お前はなぁ。俺は違う。この氷は建物や地面に覆われた場所以外に、無駄に氷の塊がある」
「……それは気になっていた。今まではこんなものは無かったからな」
「これは俺に向けられたものだ」
「何故、そう思う?」
「昔、そうゆう奴が居たからさ……俺はここに残る」
「……そうゆうと思っていた。敵地に一人残す訳には行かない。残っているチーム[クリムゾン]全員で残る」
「……これから、先どうなるか分からないぞ」
「……日本五大剣客の木山正平にチーム[アブノーマル]の木山と佐倉が居る。何とかなるだろう」
「分かった」
「……随分と物分かりが良いな」
「お前の事だ。説得しても無駄だと分かっているからな」
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青森支部の小隊を率いている木山正平の承諾を得て、檜山仁、石原碧人、五十嵐京介は通常の氷とは違い、濃い青色の氷の場所で立ち尽くしていた。
「……人の気配も無いここに、敵が来るのですか?」
待機してから、数十分後に我慢が出来ずに京介は二人に尋ねる。
「間違いなく来るさ。あいつは」
「……あいつ?知り合いなのかい」
「昔に石原家に居た奴だ」
「昔と言う事は、今は居ないんですね」
「……あぁ、一年前に出ていった奴だ。まぁ、俺も出ていったから石原家とは何の関係も無いが、あいつとだけは決着をつけておきたい」
「……ただの知り合いってだけでは無さそうですね」
「……俺に氷の扱い方を教えてくれた人だ」
「つまり、師匠って事?」
「違うな。あいつはそう言われる事を嫌がっていた」
「……師匠でも無いとすると……どんな関係なのかな?」
「……一言で言うなら、俺が倒さなければいけない男だ」




