第53話 動き始める紫音
「間違っているとは思わないのか?」
「……どうだろうな。だが、これは誰かがやらなければいけない事だ。紫音お前は上の世界で生きていけ、この地下は闇が深い」
「地下施設はこのエネルギーを吸収する機関だけなのか?」
「嫌、能力開発などの非合法な施設もある。もう関わるな」
「そう思うなら貴方も……」
「駄目だ。日本は各国から攻められ、弱体化している。ここの施設を押さえられるは[雷帝軍]だけだ。他のチームとのいざこざもある。お前が関わる事は無い」
「日本が攻めらた?」
「知らなかったのか?お前達が作ったチームのリーダーも一族が潰されている筈だが……」
「廉が?」
聞いてないぞ。
……確か……廉は舞の家に居候していると聞いたけど……まさか?
「廉の一族って?」
「檜山家と木山家は管理する神の傘下のチーム[フレイム]によって潰されている」
「檜山?檜山仁の家の事か?」
「山梨県にある名門だった。檜山家は炎系の能力が多く、木山系は炎系の異能力者が多い家系だ。俺達、石原家と上原と大差無いだろうがな」
廉からは一度も聞いてない話だ。
僕も上原家との繋がりは言って無いんだ。
余り検索するもんじゃないな。
「紫音、もうお前は上に行け」
「……これからどうするつもりだ?」
「ここの地下施設が無くなる事は無い。俺はただ日本をより良くしていくだけだ」
氷雪のこの言葉に嘘は無いと信じたい。
僕が今出来る事は余りにも少ない。
「じゃあ、僕はもう行くよ」
「あぁ、気を付けろよ」
僕はこの場から離れ、外を目指す。
出口の扉から1人の男がこの大広間に入ってくる。
……確かこの人は当麻総一朗。
制服の上に黒いマントを羽織り、全身手袋から靴まで全てが黒一色だ。
北海道の名門当麻家の次期当主。
北海道の名門はそれぞれ守る物が決まっていると言う。
加藤家は魔装。
当麻家は魔武器。
神田家は賢者の石。
を守っていると聞く。
ここに居る当麻総一朗は日本最強の魔剣士で多才の魔法と魔武器を持っていると聞く。
そして[雷帝軍]のメンバー。
僕はゆっくりと出口を目指す。
出口を目指す最中当麻さんは立ち止まる。
……僕は足を止めずに歩き続ける。
僕は当麻さんとすれ違う。
……何も起こらなかった。
僕は足早にその場を後にする。
この地下施設は[雷帝軍]が管理しているのか?
今日1日だけで[雷帝軍]の三人と出会う何て……
そう言えばこの地下警察署には個人情報や機密情報がある筈だ。
少し調べたい事が増えた。
この地下施設のエネルギー源を人間から奪う事も後どんな施設があるのか。僕は知りたい。知る必要がある。知ってしまったのだから