第523話 切断vs切断
辺りに隠れる者達の対処をチーム[ブレイド]とチーム[クリムゾン]のメンバーの斉木正宗とデューク・クラークに任せ、町中の探索を行い始めていた。そんな中、残されたチーム[クリムゾン]と正宗、デュークは戦闘準備を始めていた。
「……姿は現せないが、攻撃はしっかりとやってくる。先ずは隠れられる箇所を破壊しておくか」
六三四はやるべき事をしっかりと決めると、行動に移す。
膝を付き、両手を地面に触れらさせると一刀両断を発動させる。
それによって、地面を伝って、建物や氷は勿論、地面を真っ二つにしていく。何度も発動した事によって、幾つもの亀裂が入っていくなか、回りを囲んでいた筈の人が現れる事は無かった。
「……敵さんは隠れるのが上手いみたいだな」
楠木のその言葉に思わず笑みを溢す六三四は両手を地面から離し、立ち上がる。
「全くだ。そのくせ、気配を上手く隠してやがる」
「で、どうする?」
「……建物に身を隠しているのは確実だ。後は攻撃方向を見極めるだけだ」
「さっきまで、それが出来ずに困っていたんだろ?」
「あぁ、だが、さっきまでとは違う状況になっているだろ?」
「さっきと違う?」
楠木は確認するように回りを確認を行う。
そして、気がつく。
「無駄に、破壊しているのかと思ったら、敵の攻撃を誘う為に建物に亀裂を入れたのか?」
「あぁ、今までは建物が重なった箇所からの攻撃だったが、建物を真っ二つにした事によって、建物同士の間を失くした。今ある間は俺の一刀両断によって、切断した箇所のみだ」
「次に攻撃が来るとしたら、その間からって事か?」
「あぁ、それか、建物の屋上からだ」
「次の攻撃が来ない事には、何も始まらんな」
「だが、攻撃が始まった時に始まる。全ては」
「あぁ、その時を待つとするか」
チーム[ブレイド]と正宗、デュークはお互いに背を任せ、攻撃が来るのを待ち続けていた。
そんな中、六三四が切断した建物の間から氷の矢、氷の刃が無数に襲い掛かる。
六三四は一刀両断を発動させ、氷を切断に掛かるが、切断されずに、消滅していた。
「正宗!俺の足を引っ張るなよ」
「……努力はいたします」
楠木と正宗は儀式によって入れられた神器を出現させる。
楠木は魔剣を正宗は聖剣を手に取る。
二人は鞘から剣を抜き、一瞬にして飛んできた氷を切り裂く。
「……相変わらず、腕は鈍っていないようだな」
「剣だけしか与えられなかったからこそ、剣だけを極めてきましたから」
「……お互いに考えは同じか。人工能力者は通常の能力者と違い、努力しないとな」




