第516話 地下シェルター
チーム[ドミネーション]の襲撃によって、ここ神奈川支部の地下シェルターには能力者育成機関高等部一年決戦に参加していた高等部の一年生達は勿論、神奈川支部に住まう人々も避難していた。
そんな地下シェルターでは、チーム[ドミネーション]の対策が神奈川支部防衛局局長の安藤和真の中心に話されていた。
他人が多く、シェルターもいつ襲われるのか分からないこの状況に人々はそれぞれの過ごし方で時間を潰していた。
しかし、黒髪の男は赤髪の男と睨み合っていた。
睨み合いを続け、膠着状態になった二人の男だったが、最初に口を開いたのは赤髪の男だった。
「そこを退け!」
その気になれば、遠回りをすれば通れるその道を赤髪の男はそうはせずに、目の前に居る黒髪の男の移動を口にした。
赤髪の男に言われた事を実行する様子の無い黒髪の男は、一度を息を吸い込むと、思いの丈を言い放つ。
「久しぶりに会ってこれかよ」
「あっ?」
「一度は殺されかけたが、お前に北海道支部の時の借りがあるからな」
「……下らん。俺はまだ、お前の炎神の魔武器を諦めた訳では無い」
「またそれかよ」
冷たく語る赤髪の男とは対処的に黒髪の男は笑顔で会話していた。
そんな二人の元に水色の髪の男と、青色の髪の男が近づく。
青色の髪の男は赤髪の男の隣に立つと黒髪の男の姿を見て、一度、不思議そうな表情をすると、赤髪の男に聞いてきた話をする。
「仁。木山廉とのいざこざは一端忘れろ。これからは一緒に行動を共にするんだからな」
「……はっ?」
「チーム[ドミネーション]の傘下のチーム[ブリザード]を倒す事が決定した」
「何でこいつと」
「チーム[アブノーマル]だけではない。チーム[ブレイド]もだ。それに、上には日本五大剣客の一人の木山正平が務めるそうだ」
「それはどうでも良い。今はこいつとの決着をつける。大会に参加したのもこいつと決着をつけられると思ったからだ」
怒りを露にするチーム[クリムゾン]のリーダー檜山仁に対して、隣に立つ副リーダーの石原碧人は何とかして、仁を止めようと行動に移す。
「今はそれ所ではない。チーム[ドミネーション]は日本の制圧に向けて、動き出している。ここでチーム[ドミネーション]に破れたら、俺達は一生チーム[ドミネーション]に支配され続ける事になるんだぞ」
「それがどうした。チーム[ドミネーション]も木山廉もここでやる」
仁のその怒りを目の当たりにした廉は碧人と共に来た佐倉紫音から聞いた話から仁との協力を目指す事を決めた。




