第510話 訪れる絶望
「そう。貴方が流島丈太郎ね?」
「なんの様だ?」
「スカウトに来たの」
「断る!」
「そう。なら、殺すわ」
藤崎のその言葉と同時に、流島は動き出す。
「藤島。マントになれ」
「えっ?あぁ、分かった」
戸惑いながらも流島の指示通り、藤島は形状変神によってマントになる。そのマントを着ると流島は、翔の元へと駆け寄る。
「ここは一端引く。付き合え」
「構わない。けど、ベロスに雷属性の魔法を使っている事もあって、転移魔法は僕と君、そして総助だけだ」
「……」
翔の言いにくそうに告げる。
翔のその発言は遠回しに死体の坂下は連れていけない事を意味していた。
「分かった。それで良い」
流島のその言葉と同時に翔は転移魔法を発動させる。
「逃げたわね」
「すみません。流島の幼なじみでもある坂下を殺せば、向かってくると思ったのですが」
「構わないわ。それから、明日やる筈だった事を今日やることになったから」
「なにかあったのですか?」
「三種の神器が予定よりも早く手に入ったからね」
「適正者も?」
「ええ、三種の神器があれば、この日本は簡単に制圧出来る」
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転移魔法によって、移動した翔達は試合会場の外へとやって来ていた。
「まさか、大会の最中にこんな事になっているとは」
「あぁ、チーム[ドミネーション]が日本を敵に回すとは」
翔と流島は戦場と化したその風景を見つめながら、告げる。
「とりあえずー」
「流島!」
「中島。お前も森林スタジアムから逃げてきたか」
「あぁ、話したい事は色々あるが、チーム[ドミネーション]は日本を制圧するつもりの様だ」
「馬鹿げた話だ」
「俺もそう思うが、日本を任された今村と言う男が三種の神器の人工異能力者になったそうだ」
「三種の神器だと?」
「それだけで、日本を制圧も可能だろう。今は取り敢えず地下シェルターに向かった方が良い。地上は動ける人間が対処するみたいだしなぁ」
「分かった。俺達は地下シェルターに向かうが、お前はどうする?」
流島のその言葉に翔は用意してきたその言葉を放つ。
「僕も行くよ」
「それじゃ、急ぐぞ」




