第509話 乱入者
「坂下!」
飛んできた坂下の元へと流島は走り込む。
坂下の体を起こした流島は気がつく。
「……嘘だろ?」
動揺を隠せなかった流島は全身を纏っていた赤い雷を停止させていた。
それが無い事に気が付いた藤島は金棒から人間の姿へと戻る。
人間の姿に戻った藤島は坂下のその変わり果てたその姿を見て、悟る。
「……殺しは大会規定によって、禁止されている筈だ。俺達チーム[ゴッドオーシャン]が阪下を殺す筈が無い。チーム[チャレンジャー]の誰かが殺した。それらをまとめるリーダー神田翔!この理不尽をどう説明するつもりだ?」
「僕は……」
翔の返答を待たずに流島は割って入ってくる。
「こいつはそんな事はしない。戦ったからこそ分かる」
「そんな事はどうでも良い。坂下が死んだのは事実だ。今は坂下が誰に殺され、この怒りを誰にぶつけるかだ!」
「だったら、上に居る二人にしろ。俺はそうする。坂下を投げつけた奴等が居るんだからな」
「上?」
流島のその言葉によって、藤島は上を確認する。
そこには二人の男女が浮遊していた。
そんな二人の姿を確認したのは、流島と藤島だけではなく、翔も確認していた。そんな翔は感情を抑える事が出来ず叫ぶ。
「神代!何をしている?」
「わざわざ、うるせぇな。神田、お前には用は無い」
「答えろ。何をしている?」
「俺達はとある目的の為、動いているだけだ」
「とある目的?」
「教えてやるよ。知っても、お前には何も出来ないからな。チーム[ドミネーション]のチーム[ブレイド]のメンバーとして、動いている」
「チーム[ブレイド]ってまさか奈良支部代表の」
「はっ?的外れだな。新たに造られ、リーダーは日本五大剣客の藤崎詩織に副リーダーは日本五大剣客の三枝楓。奈良支部のお子様のチーム[ブレイド]と一緒にするな」
「チーム[ドミネーション]に参加して、何を企む」
「何も」
「なんの、考えも、理想も、信念も無く……人を殺したのか?」
「どれかあれば、人を殺しても、お前は何も言わなかったのか?」
「言うさ。人を殺した時点で」
「お前との下らん話はここまでにしよう。来るんだろう小澤」
神代のその問いに小澤は直ぐに答える。
「ええ、私の空間把握で感じ取ったわ」
「それじゃ、もう終わりだ」
不敵な笑みを浮かべた神代の真横に、巨大な魔法陣が出現する。
その巨大な魔法陣から千を越える人間が出現する。
「お待ちしていました」
「今まで、良くやったわね」
「勿体ない言葉です」
「それで、下に居る誰が流島丈太郎なのかしら?」
藤崎のその問いに神代は無言のまま、流島を指差す。




