第500話 土遁
二対一となるこの戦いにそれなりの覚悟を固めた総助は腰に取り付けていた忍者刀を右手に逆手持ちで装備する。
「ほう。やる気だな。お前は邪魔だ。取り敢えず、いつも通りにしてろ」
「はい、はい」
流島のその言葉に適当に相づちをした藤島は形状変神を発動して、黒いマントへと変化する。
そんな、マントに流島は袖を通す。
(……生体反応の知らせはいるか?)
「必要無い」
(だろうな)
「……さてと、始めようか?」
流島は警戒し続ける総助に尋ねる。
「望む所だ。いつでも来いよ」
「……先手は譲ってやるよ」
「後悔するなよ」
「しねぇよ」
総助は白魔術:忍術を使おうと両手を勢い良く合わせる。通常の忍術は印を結び、発動するが、総助は印要らずのみで魔力を造り発動させる事が出来る。
総助は得意な土遁を発動させるため、合わせていた両手を離し、地面に両手を叩きつける。
「土遁我流流砂」
総助の両手から魔力を送られた地面は一瞬にして、粉々になると大量な砂は津波の様に流島の元へと迫り来る。
(来てるぞ)
形状変神によって、マントになっている藤島のその言葉に流島はつまらなそうに答えた。
「見えば分かる。この程度避ける間でもない」
(服部総助の使う忍術は通常のものと異なり、我流だ)
「……我流?」
(忍術は印を結ぶか印要らずを使う事は知っているな?)
「それぐらい知っている」
(……そうやって、魔力を練られた忍術の威力と形状は誰が使っても差ほどの変化は無いんだ)
「それが伝統の技なんだろ?」
(そうだな。しかし、服部総助の我流はその忍者の掟に反して魔力量を変化させた我流を謳っている)
「魔力量の変化。つまり、術の威力と規模を下げることも上げる事も出来るってことか?」
(その通りだ。今はこの規模でも、いつ威力が変化するか分からないぞ)
「……つまり避けろと?」
(お前に任せる。忠告はしたぞ!)
「あぁ。聞き届けた。が、避けんぞ」
「勝手にしろ。そうすると思っていたしな」
流島は迫り来る土石から避ける事なく埋もれてしまう。
「……流島家は代々鬼神の一族だったよな。体の頑丈さは異常な筈だ。ここでだめ押しだ」
総助は印要らずを使用したのち、その両手を再び地面に触れさせる。
「土遁我流流砂」
総助は先程と同じ忍術を使用したが使い方は逆だった。
攻撃には地面を砕き土石を操作したが、現在は砕け散った土石の山を固めていた。
総助が土石の山を固め終わる前に流島の居た場所付近から上に目掛けて一直線に雷が昇っていく。




