第5話 病室で
「俺は記憶を失っているので分かりますが、舞はなんなんですか?」
「舞は記憶破壊よ。私が頼んでね」
廉は玲奈のその言葉を疑った。
一体どんな状況になれば、舞の記憶を破壊することになるのか。それは廉が考えた所で直ぐに回答を出せるようなものではない事は直ぐに理解出来た廉は考える事を放棄して、玲奈に尋ねる事にした。
「どうして、記憶を破壊する事になるんですか?」
「私の夫が殺された事が関係しているのだけど……聞く?」
玲奈の悲しげなその表情を見て、それ以上の追及する事は出来なかった廉は質問を変更した。
「異能の変化した話をしたってことはあの剣って」
「そう。あの剣は紅桜は元々、舞の体に宿っていた神器よ。その紅桜が変化して、妖魔剣創造になったの」
「何で一本の剣が複数剣を創造出来る異能になるんですか?」
「貴方は記憶を失って、覚えてないかも知れないけど、貴方も一本の剣のみの異能よ。それが変化して、炎神の魔武器になったのよ」
「炎神の魔武器は確かに、俺の考えた物を炎属性の武器として、出現させるものですが」
「剣だけならまだ良かった……けどあの戦いで舞は盾を出したわ」
「盾を?剣一本のみ神器が変化し、複数の剣を出現させる異能が盾までも」
この話が本当なら舞の妖魔剣創造はこの世にはない物までも創造する可能性もある。だとするなら、廉や玲奈を遥かに越える存在になる可能性までもある。
「これは仮説だけど……」
玲奈さんは言葉を詰まさせ、黙ってしまう。母親として、娘の舞に何か思う所があるのだろう。入院して、舞との戦闘で怪我してから、玲奈の表情は居候している廉が初めて見る表情ばかりで、廉は戸惑っていた。
「どうか……しましたか」
廉は耐えきれずに玲奈に声をかける。
玲奈の声はとても小さく、震えた声だったが確かに、廉は聞き取れた。玲奈のその一言を
「廉、貴方の異能炎神の魔武器も私の黄金宝石の剣も殺して奪おうとする者は多いでしょ……でも舞の場合少し違ってくる。舞の場合は剣だけではなく、物で言えば例えばだけど……賢者の石とかね」
その話が本当なら、殺して奪うのが常識の神器だが、舞の場合は生かして捕虜として生かし続け、欲しい物を造り続けさせる事もあり得る話だ。
「賢者の石って……舞は本当に賢者の石を創造出来るんですか?」
「……多分ね……廉、私に何かあった時は舞のこと頼めるかしら」
「玲奈さんが誰に負けるって言うですか?」
「……私は貴方が思っているほど強い人間じゃないわ」
「玲奈さんが強く無かったら……俺は……」
「良いじゃない私も貴方も弱いのよ、だからこそ強くなるのよ」