第489話 不死の鳳凰(インモータル・フェニックス)
床から生えるタコの足の様な肉体の塊は木山の体を貫く為、木山の体へと勢い良く、伸びてくる。木山は避ける事なく、その肉体の塊を体で受ける。
しかし、木山にダメージは無く、肉体の塊が木山の体に触れた瞬間、炎へと変化するして、すり抜けていく。そんな炎に触れた肉体の塊は燃え始める。
「……肉体ごときじゃあ、燃えるだけですよ」
「……そうみたいね」
「……もう。諦めて下さい。俺の不死の鳳凰と藤崎さんのその肉体操作では相性が悪いですよ」
「……勝負は相性だけで決まるものでは無いのよ。私の異形な聖剣の面白い所は人間以外の肉体も吸収出来る事よ」
「人間以外?」
「そう。どんな生物の肉体があると思う?」
「……なんかの動物?」
「うん。正解!ただし、想像上のだけどね」
「想像上の?」
「そう。もともと、異形な聖剣は管理する神のオーストラリア支部を任されていたものから奪った異能なんだけど、前の持ち主は管理する神が行っていた研究によって、造られた人造人間やクローン、錬金術によって造られた想像上の生物等も吸収している。フェニックスも造られていたんだよって言ったら、どうする?」
「どうするって……困るな。マジで」
「……そう。じゃあ、困る事になるわね」
藤崎は異形な聖剣を発動させると、藤崎は背から吸収していたフェニックスの翼を生やす。
「……嘘であって欲しかったんだが……本当みたいだな」
「……フェニックスだけでなく、ペガサス、グリフォン等名の知れた想像上の生物が吸収されているからね」
「……フェニックスのその内の一つって、困るな」
「貴方がどう対処するか楽しみにしているわ」
「フェニックスの対処法なんてあるのか、疑問だね」
「……貴方の異能はフェニックスを型どったものでしょ?」
「……フェニックスの能力、異能は世界でも俺を含めて、三人ですよ。戦うとは思わないでしょ?」
「人生何があるか分からないものよ」
「そうですね。この人生、生き抜く為にもフェニックス相手でも勝ちますよ。」
強気な木山の発言後に藤崎の表情は一変する。
その表情の変わりように、木山は戸惑いながら、近づく背後の気配に気がつく。
木山は振り返り、その人物の姿を捕らえる。
「北大路さん」
木山は頼もしい助っ人の登場に木山の緊張の糸は切れる。
黒髪の体格の良いその男は藤崎を見つめたまま、怒りを露にする。
「全く。日本五大剣客に裏切り者が出るとはなぁ」
「……北大路さん全部知ってるんですね」
「……この場のオーラを読み取っただけだ」
「オーラ?」
「新人のお前には分からないか。俺の能力は」
 




