第488話 日本五大剣客の激突
木山は腰に携えていた剣を鞘から抜き、その剣を手に取る。
「……その剣は檜山家の家宝とされていた紅蓮魔剣ね」
「……よく知ってますね。木山家も檜山家も二年前に潰され、皆忘れているとゆうのに」
「昔は日本で炎系統最強を誇った一族よ。二年経とうが忘れないわ。後、数年したら……忘れるかもしれないけどね」
「……忘れても構いませんよ。俺達は過去に生きる者ではなく、今を生きる者だ。過去の事なんて、今更どうしようが、何も変える事は出来ないのだから……でも、今なら変えられる。俺が藤崎さんに勝って変えてみせる」
「何を変えるのかしら?」
「貴女がしようとしている全てを」
「……やれるなら、どうぞ」
「……それじゃ、行きます!」
木山は紅蓮魔剣を強く握り、炎を灯させる。
そんな紅蓮魔剣に不死の鳳凰の炎を付け足す。
(やると言ったのは良いが……藤崎さんの剣は明鏡止水だったよな。だったら、物質は全て反射だよな。炎は全部帰ってくるのかよ。確か、明鏡止水は物質のみで、物体の反射は出来ないって聞いた事がある。つまり、戦うには不死の鳳凰の炎も紅蓮魔剣の炎も反射されるから、紅蓮魔剣の本体でしか攻撃出来ないか……体術も効果的だろうが……藤崎さんが小淵沢からなんらかの力を与えられているみたいだし、ここは様子見で)
木山は紅蓮魔剣に纏われていた炎を全て消し去る。
そんな木山の行動に藤崎は首を傾げる。
「……どうしたの?貴方は首を跳ねられても、再生出来る体なのにそこまで明鏡止水に警戒する必要があるのかしら?」
「……確かに俺の異能は不死の鳳凰は炎系統の攻撃は勿論、体の何処を切断されても再生は出来ます。でも、藤崎さんの力を把握せずに、突っ込むのは怖いのでね」
「意外と冷静ね」
「……日本五大剣客に選ばれたと言っても、俺はまだまだ未熟者ですから」
「謙遜しなくても、良いわ。毎年日本で五人しか選ばれない剣士に貴方は選ばれてでしょ?」
「……それでも、俺の実力は何もかも足りない」
「そう。だったら、日本五大剣客の先輩として、実力の差を見せつけてあげないとね……と、言っても昔の私と違って、現在の私には異形な聖剣があるけどね」
「……名前からして、嫌な感じがするな。これは楽して、勝とうなんて甘い考えは持たないほうが良さそうですね」
「……それは貴方の自由。でも、これから先貴方の自由は奪っていくわ」
藤崎のその言葉と同時に木山の背後の床から無数の肉体の塊が伸びてくる。
その姿はまるで、タコの足が床から生えたようにも見えた。




