第487話 疑い
首を跳ねられた木山の体は倒れる事なく、しっかりと立っていた。
宙を舞っていた頭が床へと落ちると、頭は激しく燃え上がる。
燃えきった頭は消滅すると、木山の頭は燃えながら、再生を開始していた。
元通りに戻った木山は目の前に居る中谷の老人を目にして、ため息を溢す。
「……中谷さん……厄介な相手と出くわしたみたいですね。白眼で、口から肉の塊を出すなんて、どんなにホラーですか?」
木山のその言葉をかき消すように中谷の老人の口からは再び大量な肉体が木山に向かって放たれる。
その肉体を避ける事なく、堂々と受ける。
中谷の老人の口から伸びた肉体は木山の体を貫くと木山の貫かれた体は炎に包まれ、中谷の老人の口から伸びた肉体を燃やしていく。
肉体を燃やした木山はその炎は中谷の老人の口から伸びた肉体の全て燃やし、中谷の老人の顔面を炎で包ませる。
「……中谷さんをやって……正当防衛って言って信じて貰えるのか?」
「貰えるでしょう」
一人呟いたその言葉に返事が帰ってきた事に木山はその声のする方向へと体を向ける。
その方向には藤崎の姿があった。
木山が驚いたのは気配もなく、ここまで接近を許した事もあるが、目の前に居る藤崎からは生気を全く感じさせないその雰囲気だった。
同じ日本五大剣客の同士でもあるが、木山は本能的に警戒心を強める。
そんな木山を見て、藤崎は笑みを溢す。
「どうかした?緊張でもしているのかしら?」
「嫌、そうゆう訳では無いですよ。それよりも、藤崎さんはこんな所で何をしているのですか?」
「……私も日本五大剣客の一人よ。招集を受けたからよ」
「そうですよね」
「中谷さん。一体何があったのか気になるわね」
「……ええ。チーム[ドミネーション]がやった可能性があると思いますが」
「三種の神器を狙っているらしいからね」
「はい。それで、藤崎さんはそれからどうなされるのですか?」
「……山口さんの所へ行くわ」
「……一つ聞いても良いですか?」
「なにかしら?」
「……一度あった時とは雰囲気が違いますが……なにかありました?」
「疑われたままでは、行かせてくれなそうね。良いわ。教えてあげる。私はチーム[ドミネーション]の傘下のチーム[ブレイド]のリーダーをしているわ」
「……それを聞いたら、口封じで殺されたり……します?」
「ええ、殺すわ。肉体は頂くけど」
「……はぁ~。聞かなければ良かった。でも、やるだけやるか。俺も一応日本五大剣客の一人としてその役割を全うさせて貰いますよ」
 




