第48話 上原家
ここまで移動すれば大丈夫だと思う。
入口はまだ騒がしいな。
「紫音、東京本部でやって行けそう」
「……」
やって行けるか?
どうだろう。
廉や舞とは仲良くやっていると思うけど……
チーム[アブノーマル]を結成して、これからとゆう所だ。
まだ先の事は分からない。
「そう言えば、氷月は神奈川支部に通ってるんだよね」
「うん。チーム[クラッシュ]に所属しているの」
「チーム[クラッシュ]って……あの?」
僕が知っている。
チーム[クラッシュ]の知っている情報は僕と同い年の一年が結成したチームでチームリーダーは一人で難事件を解決したって聞いた事はあるけど……
「紫音がチーム[クラッシュ]の事を知ってるなんて、私の事を気にかけてくれてたんだ」
「嫌、気にかけていた訳じゃあ無くて……」
スマホのニュースで知っただけなんだけど……
氷月は何だか嬉しそうだ。
「紫音はチームとか作ったり、入らないの?」
「一応チーム[アブノーマル]のメンバーにはなったよ」
「女の子は居るの?」
「居るよ」
「……」
急に黙って、どうしたんだ?
「どうかした?」
「その女の子って可愛い?」
どうしてそんな事聞くんだ?
舞は……可愛いけど……
「可愛いと思うけど」
「私より」
えっ?
どう答えよう……
氷月さっきから怖いし……
「氷雪のほうが可愛いと思うよ」
「本当に?」
さっきまでと違って氷月は明るく答えた。
……女の子は分からない。
「皆様に連絡があります」
スピーカーからの音だ。
連絡って何だろ?
「氷殺事件の犯人の特定に成功しました。皆様のご協力ありがとうございます繰り返します。氷殺事件の犯人の特定に成功しました。皆様のご協力ありがとうございます。皆様、気を付けてお帰り下さい」
……はっ?
僕を含めここに居る人間の事情聴取は無かった。
誰が犯人だったんだ?
それすら教えてくれなのか?
「早く、帰ろうぜ」
「いい迷惑だ」
「俺、北海道から来たんだぜ」
ここに集められた人間達は愚痴を言いながら部屋を後にする。
「紫音はこれからどうするの?」
「帰るよ。氷月も早く帰ったほうが良いと思うよ」
「その前に食事でもどう?」
「神奈川支部も君の帰りを待ってるよ」
「じゃあ、また今度ね。約束だよ」
「うん。気を付けて帰ってね」
僕は氷月に手を振り、送り出す。
僕はまだやる事がある。
入口で騒がしいなと思ったがあの時、何かがあった筈だ。
それを確めるまで帰る訳にはいかない。
昨日の石原碧人が起こした事件も今回の氷殺事件も誰かが揉み消した感じがする。こんな権力を行使するのは上原家位だろう。