第478話 壊滅の怪神(デストラクション・ミステリー)
「……チーム[ドミネーション]の命令に従う為に動くだけよ。私はせっかく頂いたこの能力を手放したくは無いからね」
「他人から能力を貰った様に聞こえたのだけど?」
「……そう言ったの!」
「……チーム[ドミネーション]は他のチームと違って無能力者を集める理由がなんと無く、分かったわ。能力を与える事が出来る人間が居るみたいね」
「少し、違うわ。能力だけでは無く、魔法、異能も可能よ」
「……成る程、それで無能力者達が群がって居るわけね」
「……貴女は今ある異能とは別に新たな力が欲しいとは思わないの?」
「無能力者以外にも与える事が出来るみたいね」
「そうよ。少しは興味が出てきた?」
「少しね。でも、私は要らない。私には壊滅の怪神が有るからね」
「……あの幼稚な特撮ものに出てくるモンスターに化ける異能ごときで私に勝てるの?」
「……分かってないな。特撮に出てくるモンスター以外にもあらゆるモンスターに化ける事が出来るよゲームに出てくるモンスターもね」
小浪は壊滅の怪神を発動させる。
小浪の小柄なその体は一瞬にして五十メートルを越える巨体へと変化する。
黒き鱗に覆われ、鋭い牙を持つ巨体な怪物へと変化した小浪を目の前にして遥香は後退りしていく。
「全く、体の構造を完全に無視しているわね」
巨体な怪物へと変化して小浪との距離を取りながら、どう対処するべきか考えていた。
しかし、遥香が満足行く考えに至る前に巨体な怪物へと変化した小浪が攻撃を開始する。
小浪は巨体な怪物と化した多きな口を開き、溢れんばかりな炎を放出させる。
遥香は自身の目の前に多きな魔法陣を出現させると、巨体な怪物と化した小浪の頭上にも魔法陣を出現させる。
迫り来る炎を目の前にして遥香は魔法陣一つだけで動く様子も無い。
巨体な怪物と化した小浪の口から放たれた炎は遥香の出現させた魔法陣へと衝突する。しかし、魔法陣が壊れる様子も無く、炎の勢いも止められる様子も無い。巨体は怪物と化した小浪の口から放たれた炎は魔法陣に吸い込まれている様にも見受けられた。
遥香の目の前に出現している魔法陣に受けた炎は触れた瞬間に転移され、巨体な怪物と化した小浪の頭上に出現している魔法陣へと移動していた。
小浪の頭上の魔法陣から出てくる炎は怪物と化した小浪の頭へと放たれる。
突然の出来事に小浪は一瞬にして判断を下す。
巨体な怪物の尻尾部分から小柄な小浪は脱出する。
小浪が居なくなった事によってただの脱け殻となった巨体な怪物は炎に包まれていた。
 




