第444話 魔神化同士
魔力を送り、紅色の炎を更に強化させた仁は目の前に居る琢磨に目掛け、紅色の炎を放つ。
辺りに充満していた黒いオーラは放たれた紅色の炎に吸収していく。
琢磨の目の前に届いた時には最初の勢いは無く、黒い魔法の爪によって簡単にかき消される。
「……君自身は妖術の影響を受けないみたいだね。魔に対する耐性があるのかな?」
「……知らねぇよ」
「一回戦で戦って居た木山廉も魔に対する耐性があったよね?君と彼の共通点は山梨支部の人間と言う事と、元々は同じ一族の人間だったって事だよね。木山家と檜山家の生き残りの二人は魔に対する耐性がある……なんでかな?」
「……知らねぇよ」
「……君達は二人とも炎系統だよね?」
「……だったら?」
「……君達の一族には何があるんだろ?」
「答えても良いが……記憶を消されている」
「……なんで消されたのかな?」
「知らねぇよ。必要があったからだろ」
「……君達に記憶すら残さなかった……何かあるね」
「それぐらい理解している。全ては管理する神が握っている。俺はそいつらから奪い返す」
「……君の目的は管理する神にあるのか?」
「そうだ。俺は管理する神を潰す!」
「デカク出たね。まぁ、僕も似た様なものだ」
「……お前も管理する神を狙っているのか?」
「少し違うな。僕が倒したいのはチーム[ドミネーション]だ」
「……最近成り上がった犯罪組織か」
「……チーム[ドミネーション]は儀式や特殊な能力によって無能者に力を与えている。静岡支部の人間も何人か関わっていてね。琴乃も無能者だったんだけど、相沢家の人間の儀式によって魔法の鎖の能力者へと変貌させた。これは僕が調べた結果チーム[ドミネーション]が深く関わっていた。だからこそ、僕はチーム[ドミネーション]を潰す」
「そうか。頑張れよ」
「君もね」
「長話が過ぎるな。そろそろ終わりにしようか」
仁は両手に紅色の炎を纏わせる。
魔神化した琢磨にはそれだけでは勝てないと思いながらも仁は力を振り絞る。
それと同時に仁の背中付近から紅色の翼が出現する。
「仁?」
魔神化の現象と同じ翼の出現に碧人は仁のその姿に戸惑う。
しかし、それは仁も同様だった。
「魔に対する耐性だけでなく、魔神化まで……これは僕も本気でやる必要があるな」
琢磨は全身から黒いオーラを大量に放出させ、仁との戦闘を整える。
仁は妖魔術が組み込まれた黒いオーラが広がる前にこの戦いを終わらせようと右手を琢磨に向ける。




