第437話 状態回復(コンディション・リカバリー)
重信によって、捕らえられていた仲間の元へと向かう事が出来た佳祐は仲間達の姿を目にする。
しかし、佳祐は直ぐに向かう真似はしない。
間違い無く、近くには位置交換の能力者である春樹が潜んでいる事を理解出来ているからこそ、佳祐はうかつに仲間の元へと駆け寄る事が出来ずにいた。
しかし、抱えている佳奈の具合からして、佳祐は早く仲間の元へと行かなければ行けない事も事実であり、佳祐はなんとかして近づこうと少しずつ距離を詰める。
佳祐の姿を見つけた。チーム[シャドウ]のメンバーである雄太は佳祐に抱え込まれている佳奈の様子から直ぐに状況を理解する。
「佳祐。直ぐにこの魔法の鎖を取っ手くれ。早く佳奈の治癒を」
「そこには誰も居ないんだな?」
「……山瀬家の移動系統の能力が近くには居る可能性もあるが、関係無い。それよりも今は佳奈様を救う事を優先しろ!」
「……あぁ、分かってる」
佳祐は警戒する事なく、佳奈を抱えながら走り込む。
チーム[シャドウ]の捕らえられている二人の元へとたどり着いた佳祐は佳奈を横にさせると、二人に縛り付けられた魔法の鎖を取り除くと、魔法の鎖を遠くへと投げつける。
「大丈夫か?」
「……あぁ、今はそれよりも佳奈様だ」
「あぁ、頼む」
佳祐は佳奈の治療を雄太に任せ、もう一人のチーム[シャドウ]のメンバーである大の元へと駆け寄る。
「大。大丈夫か?」
「……あぁ、問題、無い」
佳祐が大に駆け寄っている間に佳奈の治療は終えていた。
「佳祐。佳奈様はもう大丈夫だ。取り敢えず、安静にさせておけば問題無い」
雄太からのその言葉に佳祐が安堵していたその頃、チーム[シャドウ]のメンバー達の居る付近にある小石と春樹が入れ替わり、その場にあった小石は無くなり、春樹がその場に現れる。
「……佳祐。どうする?俺の状態回復では戦闘は出来ないぞ」
「分かってる。しかし、俺の超電動波は周りの物に影響を与える。佳奈様の側でそんなには使いたく無い」
「……相手の能力は位置の交換だけだが、使い方次第では重信様の元まで行かれる可能性もある」
「……あぁ、重信様のもとには行かせる訳には行かない。ここで止める。たった一人も止められない様ではチーム[シャドウ]のメンバーを名乗る事も出来ない」
佳祐と雄太の話を聞いていた(だい)はゆっくりと二人の間に入ってくる。
「話を聞く限り、ここは俺に任せて貰う。あいつの能力を封じながら、重信様の元にも行かせない様に刷れば良いんだろ?だったら、ここは俺に任せて貰う」




