第43話 紫音の考え
僕は一睡も出来ず、学生寮の前に立ち尽くす。
昨日はここで廉と舞に出会った。
しばらくここで待ってよう。
昨日の事件は表沙汰になる事は無いだろう。
上原氷雪と同じ高校にいる以上あの時の因縁はどうにかして……僕は生きている以上、上原家からは逃げられないのか?
「紫音」
僕の名前を呼ばれ、慌ててその人物に目を向ける。
廉と舞が不思議そうに見つめている。
「……どうかした?」
「それはこっちのセリフだ。こんな所で突っ立って何してるんだ?」
「えっと……ボーッとしてた」
「本当に大丈夫か?」
「うん」
彼は木山廉、黒髪で癖の強い髪型に筋肉質な男で炎神の魔武器の異能力者。
その隣に居るのが川上舞、黒髪で色白な女の子。常に笑顔が絶えないそんなイメージが強い。舞は妖魔剣創造の異能力者。
「本当に大丈夫?」
「心配し過ぎだよ」
僕がそう答えると舞はいつもの様ににこやかに微笑む。
舞には笑顔が似合うと素直に思える。
昨日の石原碧人との戦いで舞の妖魔剣創造が活躍した様だ。僕はまだ廉の炎神の魔武器と舞の妖魔剣創造の異能力をまだ理解出来ていない。
二人ともかなりの実力者だとゆう事は理解できる。
このチーム[アブノーマル]の中で僕が一番弱い。
僕の異能氷神の花畑は扱いが難しい。
氷神の花畑が難しいと言うよりも氷系の異能、能力は数が少なく、扱いも難しい。
石原碧人、上原氷雪の二人は完全に扱えている少ない人間だ。
石原家、上原家共に氷系の異能、能力を扱う家系だが、完全に扱える者はかなり少ない。
僕が見た限り石原碧人の氷の金剛石は造り出せる量は少ないものの圧倒的な強度を持つ氷を造ることが出来る異能力の様だ。更にスピードも遅く、内部からの攻撃には滅法弱いみたいだ。
僕が知る限り日本で最強の氷能力者は上原氷雪、チーム[雷帝軍]の副リーダーで高校三年。
上原氷雪の能力瞬間冷凍上原氷雪が目視して認識しただけで凍らせる事が出来る能力。
弱点は少なく、上原氷雪の目を潰すか、視力を奪う。または障害物に隠れる等位しか思い浮かばない。
長所は多く、どれだけ離れていようが目で見て確認出来れば凍らせる事が出来る。形、大きさ等は上原氷雪の視覚内であれば自由自在で、最も凄いのがスピードだ。見て、凍らせると認識しただけで凍らせる事が出来てしまう。
スピード対決ではまず勝ち目が無いだろう。
石原碧人の強度の氷を破壊したのもこの瞬間冷凍で強度の氷の内部に急速に氷を造りだし内部から破壊した様だ。
上原氷雪を倒すには背後を取るしか無いだろう。