第425話 氷の金剛石(アイス・ダイヤモンド)
碧人は翔馬との戦闘を早く終わらせる為、足元を凍らせようと造り出す。
氷の金剛石によって体を凍らせれば、解かす事も破壊することもするのはかなり難しい事は目に見えている。
それは翔馬も理解していた。
氷始めた地面を見て、翔馬は素早く移動する。
「俺の氷を破壊するなんてほざいておきながら、俺の氷にびびって逃げるとはなぁ。さっさと破壊してみろよ」
碧人は次々と足元を凍らせようと氷を連続で造り続ける。
翔馬は反撃する事なく、逃げ続ける。
翔馬が一番避けなければいけないのは、氷の金剛石に凍らされる事だ。
翔馬が氷の金剛石を破壊するには魔法陣を動かし、氷を砕く方法で破壊しようと考えていたが、一回で破壊出来ない事は最初の攻撃した時に把握出来ていた。つまり、翔馬が氷の金剛石を破壊するには複数回魔法陣をぶつけるか、複数の魔法陣によって連続でぶつけるかだ。
しかし、全身を氷の金剛石によって凍らされれば、身動きがとれずに上手く魔法も扱えなくなるだけでなく、息も出来なくなる事は目に見えている。
「……君の氷の強度は認めるよ。でも、君の方が強いとは認められない」
「あっ?」
「……負けられない理由があるんだ!」
「奇遇だなぁ。俺もだ」
碧人は翔馬の背後に逃げられない様に氷を造り上げる。
翔馬は背後に逃げられない事を悟ると二つの魔法陣を出現させる。
その二つの魔法陣は翔馬の手の付近に浮遊している小さな魔法陣と連動していた。
「変わった魔法陣の使い方だな」
「……この魔法陣は手元にある魔法陣と連動している。この意味が分かるか?」
「知らん」
「……教えてあげるよ。琢磨様をお守りする為だけに鍛え上げられたこの力を」
翔馬は右手を強く握り、小さな魔法陣を勢い良く振るう。
それに連動して大きな魔法陣が碧人に向かって、迫っていく。
碧人は目の前に大きな氷を出現させる。
迫り来る大きな魔法陣は碧人が出現させた氷に激突する。
氷によってその動きを止められた魔法陣は氷を破壊出来る様子もなく、完全に停止していた。
このまま、魔法陣をぶつけていても意味が無い為、翔馬は右手を引く。
右手に浮遊した小さな魔法陣と連動して氷にぶつかっていた大きな魔法陣も引いていく。
「……やはり、普通の氷の強度では無いね。守川家の魔法陣の強度は日本一と言われるんだが……氷の強度が上の様だ」
「なにが言いたい?」
「氷は氷。それ以上は何も出来ない」
「魔法陣は魔法陣だろ?魔法陣でなにが出来る?」




